血液検査では胆管炎を疑いたいですけど,肝内胆管ってこんなもんでしたっけ.拡張してるんでしょうか.
近年の夏の暑さは大変なもので,救急外来で発熱,倦怠感,食欲低下を訴える患者さんを診たとき,まず熱中症を念頭に置く場面も増えている.しかし,当然ながら発熱をきたす疾患は多岐にわたる.そのなかで忘れてはならない疾患の1つが,総胆管結石による急性胆管炎である.common diseaseでありながら,診断や治療介入が遅れると敗血症に進展しうる重要疾患であり,画像診断の果たす役割は大きい.
血液検査などから胆管炎を疑った場合,CTで確認すべきは,結石そのものよりも胆管拡張と閉塞部位である(図1).普段から,肝門部から膵頭部,十二指腸乳頭部まで,総胆管を追いかける習慣をつけたい.肝内胆管が左右ともに目立つか,総胆管が膵頭部内で拡張しているか,拡張がどこで急に途絶えているかを丁寧に確認する.適宜,冠状断像なども利用するとよい(図2).
急性胆管炎の状態だと,胆管拡張に加えて,胆管壁の肥厚や造影効果,胆管周囲の軽度浮腫,動脈相での肝実質の区域性・楔状の早期濃染が認められることがある.特に,拡張した肝内胆管の周囲肝実質が淡く早期濃染する所見は,胆道感染・炎症を反映する重要なサインである.単に「胆管が太い」で終わらず,「閉塞しているのか」「炎症を伴っているのか」まで考えることが画像診断の役割である.なお,胆嚢摘出後や高齢者では,総胆管がある程度拡張して見えることもある.過去画像があれば比較し,今回新たに拡張したのか,胆嚢炎や急性膵炎を合併していないかも確認する.
次に,総胆管結石の同定である.ここが本疾患の読影で最も大きなpitfallになりやすい.総胆管結石は,CTで明瞭な高吸収域として描出されるとは限らない.胆汁とほぼ等吸収のものもある.また高吸収の結石であっても,特に下部胆管からVater乳頭部近傍は,十二指腸内の液体や空気,膵実質,胆管壁の造影効果に紛れやすく,見落としやすい.まさに本例もそうである.総胆管結石を疑う場面では,造影CTだけで判断せず,単純CTを必ず確認してほしい(図3).
もちろん診断はCTだけでない.超音波検査は胆管拡張,胆嚢結石,胆嚢炎合併の評価に有用で,ベッドサイドでくり返し行える利点がある.MRCPは胆道全体を俯瞰しやすく,CTで結石がはっきりしない場合の追加検査として有用である.大切なのは,状況に応じてモダリティを適切に使い分けることである.
総胆管結石による急性胆管炎は,common diseaseでありながら,診断や治療介入が遅れると敗血症に進展しうる重要疾患である.夏の夜間救急では,発熱患者のCTに拡張胆管を見つけることで,その患者の予後を変えるかもしれない.