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AI・シミュレーションによる薬剤開発の迅速化

Accelerating of drug development based on AI and simulation
田中良尚,松本篤幸,奥野恭史
Yoshihisa Tanaka1)2)/Shigeyuki Matsumoto3)/Yasushi Okuno2)3):Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University1)/HPC- and AI-driven Drug Development Platform Division, RIKEN Center for Computational Science2)/Department of Biomedical Data Intelligence, Graduate School of Medicine, Kyoto University3)(京都大学大学院薬学研究科1)/理化学研究所計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門2)/京都大学大学院医学研究科ビッグデータ医科学分野3)
10.18958/7061-00001-0000205-00

2019年末以降,新型コロナウイルスはその高い感染力により今日に至るまで世界中で猛威をふるっている.これに対峙すべくこれまで世界中の研究者の多大な努力によりワクチンやさまざまな治療薬が開発されてきた.しかし,高頻度に変異株が出現している現状をかんがみると,それらの治療手段が効果を示さなくなる可能性もあり,新型コロナウイルスの新規治療薬の開発に対する社会的重要性は依然高いままである.また,COVID-19が終息したとしても,今後遠くない未来に新たなウイルスが出現する可能性もあり,治療薬やワクチンの創薬をいかに迅速化できるかが非常に重要な課題である.われわれは創薬のスピードアップを図るために,さまざまなAIやシミュレーション技術の開発を行ってきた.本稿では,新型コロナウイルスの治療薬開発における計算事例を題材に,創薬ターゲット分子探索と薬剤探索における計算手法を紹介する.

創薬,AI,分子シミュレーション,スーパーコンピューター,ネットワーク解析

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