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加齢や飲酒に伴う食道上皮の再構築と食道発がん

Esophageal epithelial remodeling and esophageal carcinogenesis associated with aging and alcohol consumption
横山顕礼
Akira Yokoyama:Department of Therapeutic Oncology, Graduate School of Medicine, Kyoto University(京都大学医学部附属病院腫瘍内科)
10.18958/7223-00001-0000396-00

食道には,腺上皮と扁平上皮が存在するため,2種類のがんが発生する.食道腺がんは逆流性食道炎等がリスクとなると考えられているのに対して,扁平上皮がんは,飲酒,喫煙が明確なリスクとなる.がんの母地は,それぞれ,バレット食道と多発ヨード不染であるが,最近の研究成果で,ともに非腫瘍にもかかわらず,クローン拡大で構成されることが報告されている.ただし,食道上皮にクローン拡大が生じる原因は,発がんに伴う変化のみではない.正常の食道扁平上皮では,発がんに先立って,年少期のうちにドライバー変異を獲得したクローンが多中心性に出現し,加齢とともに,正確に遺伝子変異が蓄積し,飲酒・喫煙という生活習慣がリスク要因として加わることで加速する.正常食道,食道がんの網羅的ゲノム解析は行われたが,発がんの全貌をsequentialに理解することが次の課題である.

食道がん,飲酒,喫煙,ALDH2多型

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