実験医学 2006年5月号 Vol.24 No.7

脂質を動かす・脂質が動かす

輸送メカニズムからシグナル発信機能,可視化技術による動態解析まで

  • 花田賢太郎,深見希代子/企画
  • 2006年04月20日発行
  • B5判
  • 119ページ
  • ISBN 978-4-7581-0111-0
  • 定価:1,800円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》膜脂質は,ダイナミックに変化しながら実に多彩な生物学的役割を果たしている.よって,各種脂質分子がどの場所にどの時点で配置されるのかという時空間的なダイナミズムとその制御メカニズム,そして,それらの生物学的意義を知ることは,生命科学に不可欠な課題であろう.本特集では,脂質の細胞内トラフィックや脂質が特定の場で他の生体分子に働きかけて起こす生命現象に関する研究を当該分野の気鋭の研究者が解説する.

実験アプローチの開発により近年新たな展開をみせている脂質研究.本特集では,脂質の輸送メカニズム,シグナル分子としての役割を中心に,古くて新しい脂質の時空間的ダイナミズム研究の最前線を紹介します.

目次

特集

脂質を動かす・脂質が動かす
輸送メカニズムからシグナル発信機能,可視化技術による動態解析まで
企画/花田賢太郎/深見希代子
概論〜生命科学の中央舞台に歩み入る膜脂質ダイナミズム【花田賢太郎/深見希代子】
膜脂質は,ダイナミックに変化しながら実に多彩な生物学的役割を果たしている.よって,各種脂質分子がどの場所にどの時点で配置されるのかという時空間的なダイナミズムとその制御メカニズム,そして,それらの生物学的意義を知ることは,生命科学に不可欠な課題であろう.本特集では,脂質の細胞内トラフィックや脂質が特定の場で他の生体分子に働きかけて起こす生命現象に関する研究を当該分野の気鋭の研究者が解説する.
膜脂質二重層を横切るフリップ・フロップ脂質輸送【植田和光/稲留弘乃/梅田真郷】
生体膜を構成する脂質の種類は組織や細胞,あるいは細胞内オルガネラによって異なり,また脂質二重層の表側と裏側で異なっている.このような生体膜における脂質の不均一な分布が,どのように形成・維持され,いかなる生物機能を担っているのか,長らく疑問であった.最近になり,脂質二重層内外を横切る脂質分子の運動(フリップ・フロップ)を制御するタンパク質群の実体とその生理機能が明らかにされつつある.本稿では,さまざまな病気の解析から脂質トランスポーターとしての機能が見出されたABCタンパク質とP型ATPaseファミリーに属するリン脂質トランスロケースを中心に解説する.
脂質のオルガネラ間トラフィック【花田賢太郎/新井洋由】
脂質の代謝や機能発現には異なるオルガネラの間を脂質自身が的確に移動することが必要不可欠であるが,どのようにして脂質のオルガネラ間選別輸送が行われているのかはほとんど未知領域のままである.しかし,最近の研究成果から,タンパク質の輸送小胞を介した様式とは異なり,少なくとも一部の脂質のオルガネラ間輸送は特異的な脂質転移タンパク質が特定の脂質分子を供与膜から引き抜いて目的地のオルガネラへ運ぶ様式で行われていることが明らかになってきた.
イノシトールリン脂質が動かす多彩な生命現象【佐々木雄彦/深見希代子】
イノシトールリン脂質は形質膜や細胞内小器官膜に存在し,多様な機能タンパク質の時空間的モジュレーターとして働いている.多くの細胞内タンパク質が,PHドメインやFYVEドメインに代表されるイノシトールリン脂質結合モジュールを有する.生物はイノシトールリン脂質による細胞機能の調節機構を古くから獲得し,ヒトにおいてはその乱れが,さまざまな疾病発症の要因となることも明らかになりつつある.
哺乳動物細胞におけるリン脂質の生合成制御【久下 理】
哺乳動物細胞の主要リン脂質の1つであるホスファチジルセリン(PS)は,その生合成がPSによるフィードバック制御により調節されている.この制御は,酵素の発現調節ではなく,PSの共存によって合成酵素の活性そのものが阻害される様式であり,PS合成酵素が直接あるいは間接的に細胞内のPS量を感知し,その必要に応じてPSを合成するものと考えられる.また最近,小胞体膜リン脂質の総量を制御する転写因子が発見され,リン脂質の生合成制御機構の解明が,今後急速に進展するものと期待されている.
脂質を見る〜脂質結合プローブを用いた脂質の分布と動態の解析【小林俊秀/岩本邦彦/加藤詩子/梅田真郷】
細胞膜上の特定の脂質や脂質集合体を認識するペプチドや化合物が見つかってきている.これらの物質は脂質プローブとして有用であるが,自然界からスクリーニングされたペプチドやタンパク質は細胞毒性をもつ場合が多く,その利用には工夫が必要である.新しい脂質プローブを用いることにより,細胞分裂時における脂質の動態や脂質ラフトの詳細な構造が明らかになってきた.
脂質抗原の細胞内輸送と免疫認識【杉田昌彦】
免疫系は多様な抗原に対して特異的に応答できる反応系である.これまで,免疫系が認識する抗原はタンパク質だけであると考えられてきた.これに対して,癌や微生物が産生する脂質を標的にした新しい免疫システムの存在が明らかとなってきた.細胞の中で,脂質はきわめてダイナミックな動きをする.最近の研究から,その脂質を効率的にサンプリングし,特異的な免疫応答を可能にする巧緻な膜輸送系の実態が解明されつつある.この新しい研究領域のめざましい発展は,脂質をベースにしたワクチン開発へと結実しようとしている.

トピックス

カレントトピックス
交感神経系シグナルによる骨髄ニッチからの造血幹細胞遊走の制御【片山義雄/Paul S. Frenette】
新規動原体タンパク質Moa1は染色体接着を介して姉妹動原体の一方向性を確立する【横林しほり/渡邊嘉典】
胆汁酸による甲状腺ホルモン活性化とエネルギー代謝調節【渡辺光博/Johan Auwerx】
mRNA品質管理システムにおけるナンセンスコドン認識の分子機構【鹿島 勲/山下暁朗/大野茂男】
News & Hot Paper Digest
導入遺伝子の発現を制御する新たな技術〜遺伝子治療の実現へ向けて〜【島岡 要】
前立腺癌のホルモン療法に光〜マクロファージの相互作用が耐性癌を誘導する〜【黒川理樹】
巨大な神経細胞接着分子Dscamの,大きな謎やいかに?【武内恒成】
小胞体ストレスが炎症を引き起こす分子機構【浦野文彦】
疲れたT細胞を復活させる【西谷真人】
分野を超えた若手研究者の国際交流〜The 4th International Student Seminar【編集部】

連載

科学する心を語る
「なんか,面白いことない?」−ウイルス研究の醍醐味【河岡義裕】
クローズアップ実験法
組換えアデノウイルスの迅速な精製法【鵜飼英世/寺島美保/村田武英/横山和尚】
バイオ実験ピンチ脱出法
【小笠原道生】
疾患解明Overview
前立腺癌の発症からみた分子機構の解明と新規バイオマーカー開発【鈴木啓悦】
私が名付けた遺伝子
第17回 Condensin 〜染色体を形づくる分子〜【平野達也】
ラボレポート−独立編−
独立のすすめ〜Max-Planck Institute of Immunobiology【柊 卓志】

関連情報

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