次号予告実験医学増刊号

次号 実験医学増刊 Vol.37 No.17(2019年10月18日発行予定)

にかわ脳〜 Glue Brain Project 〜(仮題)

編集/松井 広(東北大学大学院生命科学研究科),田中 謙二(慶應義塾大学医学部)

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IBMとスイス連邦⼯科⼤学が始めたBlue Brain Projectを初め,国家規模の機能的コネクトミクス研究のほとんどが,実は,脳の半分しか対象にしていません.この驚くべき事実は,あまり良く知られていないことでしょう.ご存知のように,脳の半分以上はグリア細胞でできています.つまり,多数のグリア細胞の隙間を神経細胞が埋めているに過ぎないという⾒⽅すら可能なのです.グリア細胞は活動電位を発しないため,脳内情報処理には何ら関わりがないとするのが従来の考え⽅でした.ところが,グリア細胞内のイオン変動や代謝産物変動を可視化すると,実に豊かな情報表現がされていて,また,様々な伝達物質を放出することで,他の細胞ともコミュニケーションを取ることが明らかになってきました.また,脳内⾎管と神経細胞の間には必ずグリア細胞があります.したがって,中枢である脳は,グリアを介して,全⾝とつながっているとも⾔えます.脳と⼼と体をノリ(Glue)のように,構造的,そして,機能的につないで,我々が整合性あるひとつの個体として活動できるのは,すべて,グリア細胞の働きゆえと考えられます.以上の考えは,かなりグリア細胞側に偏った考え⽅ではありますが,偏った考えから今まで考えもしなかったアイデアが⽣まれてくることも研究の醍醐味といえます.本増刊号では,グリア細胞に焦点をあてたGlueBrain Projectを担う執筆陣の皆様には,脳と⼼に関してアプリオリに想定される関係を,根底から覆すような最新の⾰命的研究を紹介していただきたいと考えております.(企画者より)

  • 序にかえて―こころをつなぐグリアの役割【松井 広,田中 謙二】

第1章 グリア細胞の分化・神経発達

  • 1)脳発生および成体におけるグリア細胞の多様性【川口大地,後藤昂宏】
  • 2)ミクログリアから神経細胞へのdirect reprogramming【中島 欽一】
  • 3)ショウジョウバエ・グリア組織網の役割と発生【粟崎 健,伊藤 啓】

第2章 グリア細胞と神経免疫・臓器連関

  • 1)グリンファティック・システムの全貌【平瀬 肇】
  • 2)グリア光刺激による脳血流操作【正本 和人】
  • 3)ペリサイト機能欠損による血液-脳関門の破綻【宝田 剛志】
  • 4)脳梗塞後の炎症とグリア細胞・免疫【七田 崇】
  • 5)ALSにおけるグリア・免疫連関【山中 宏二】
  • 6)貪食性アストロサイト:制御メカニズム及び病態生理学的意義の解明【森澤 陽介,松井 広】
  • 7)歯周病-ミクログリア活性化によるアルツハイマー病悪化機構【中西 博】

第3章 グリア細胞と疾患

  • 1)脳保護・修復におけるグリア細胞の役割【小泉 修一】
  • 2)脱髄初期におけるミエリン破壊機構の解明【板東 良雄】
  • 3)多発性硬化症の新たな診断法,治療法【久冨木原 健二,中原 仁】
  • 4)グリア細胞と痛みと痒み【津田 誠】
  • 5)自閉症におけるミクログリア依存的シナプス除去機構の破綻【安藤めぐみ,小山 隆太】
  • 6)ミクログリア機能破綻と一次性ミクログリア病の病態【池内 健】
  • 7)乳酸脱水素酵素を標的とする難治性てんかん制御剤の開発【井上 剛】

第4章 グリア-神経の機能連関

  • 1)アストロサイトによるシナプス伝達チューニング機構【合田 裕紀子】
  • 2)アストロサイト活動光操作によるシナプス可塑性制御【別府 薫,松井 広】
  • 3)神経興奮を調節するアストロサイト亜種が有する分子的な特色【柴崎 貢志】
  • 4)線条体アストロサイトDREADD刺激によるADHD様行動【長井 淳】
  • 5)オリゴデンドロサイト–軸索連関による活動電位の軸索伝導制御【山崎 良彦】
  • 6)オリゴデンドロサイトを介した神経軸索間情報伝達機構の解明【清水 健史】
  • 7)オリゴデンドロサイトの制御による神経科回路活動の精緻化【和氣 弘明】

第5章 解析手法

  • 1)グリアの情報受信および発信イメージング【繁冨 英治,小泉 修一】
  • 2)ライブ超解像顕微鏡によるシナプス周辺局所アストロサイト信号の解明【有薗 美沙】
  • 3)グリア活動のBOLD信号【高田 則雄,田中 謙二】
  • 4)神経–グリア–fMRI信号をつなぐ関数【松井 鉄平,大木 研一】
  • 5)三次元電顕を用いたグリア細胞微細形態解析【大野 伸彦】
  • 6)ミクログリアの時空間多様性【増田 隆博】
  • ※ タイトルはすべて仮題です.内容,執筆者は変更になることがございます.