次号予告実験医学増刊号

次号 実験医学増刊 Vol.37 No.15(2019年9月5日発行予定)

がん免疫療法の個別化を支える最新・腫瘍免疫学(仮題)

編集/河上 裕(慶應義塾大学医学部)

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2018年ノーベル生理学・医学賞(本庶博士とアリソン博士共同受賞)の対象となった免疫チェックポイント阻害薬の実用化は、がん治療を大きく変えただけでなく、そのリバーストランスレーショナル研究は腫瘍免疫学を大きく発展させました。さらなるヒトがん免疫病態の解明は、治療効果予測や治療法選択のためのバイオマーカーの同定、また複合的がん免疫療法における治療標的の同定や新規免疫療法の開発につながります。また、がんに対する免疫応答だけでなく、がん免疫療法で生じる自己免疫性副作用の管理のためにも、多くの疾患の病態に関与する免疫システムを理解しておくことが重要です。『がん免疫療法―腫瘍免疫学の最新知見から治療法のアップデートまで』(2016年に発刊)からの本分野の発展には目を見張るものがあり、今後、個別化治療をふまえた、より効果の高い次世代がん免疫療法の開発に向けて、膨大な最新知見に基づいた、現在の腫瘍免疫学の全体像をup-to-dateしておく必要があります。
そこで、今回、基礎から臨床まで、現時点での腫瘍免疫学のコンセプトをあらためて整理し、免疫療法の研究・開発・臨床に関わる一人でも多くの方々と共有するために、本特集を企画しました。大変お忙しいなか、本主旨にご賛同いただける第一線の専門家の皆さまのご支援を、心からお願い申し上げます。(編者より)

  • 序にかえて――がん免疫総論:がん微小環境、個体差(がん、宿主、環境)、バイオマーカー、複合免疫療法【河上 裕】
  • Overview――腫瘍免疫学とがん免疫療法の歴史【和田 尚】

第Ⅰ部 腫瘍免疫応答の基本とその制御メカニズム

第1章 腫瘍免疫応答の正負の調節機構

  • 概論)Cancer-Immunity Cycle(primary・adaptive・acquired resistanceを含む)にかかわる免疫細胞と免疫分子、イムノグラム【垣見和宏】
  • 1)腫瘍抗原とT細胞による認識機構(ネオ抗原、がん精巣抗原、ウィルス抗原など)【松下博和】
  • 2)免疫抑制・抵抗性にかかわるがん遺伝子異常(oncogene、aneuploidyなど)【中川英刀・藤田征志】
  • 3)腫瘍抗原を提示する抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ)【藤井眞一郎】
  • 4)NK細胞、NKT細胞、γδT細胞【早川芳弘】
  • 5)腫瘍関連マクロファージ(TAM、MDSC)【菰原義弘】
  • 6)免疫抑制性T細胞(Tregなど)【前田優香・西川博嘉】
  • 7)腫瘍関連線維芽細胞(CAF、MSC間葉系幹細胞を含む)【青木一教】
  • 8)シングルセル免疫細胞解析による抗腫瘍T細胞の動態(腫瘍内外)【冨樫庸介・西川博嘉】
  • 9)免疫チェックポイント分子の分子作用機構【横須賀 忠】
  • 10)がん免疫応答に関わるサイトカイン・ケモカイン【寺島裕也・松島綱治】
  • 11)免疫代謝【鵜殿平一郎】
  • 12)腸内細菌叢【田之上 大・本田賢也】
  • 13)免疫体質(HLA、SNPs)【西村泰治】

第2章 腫瘍免疫応答の制御法

  • 概論)複合免疫療法のあり方【安達圭志・玉田耕治】
  • 1)Immunogenic cancer cell deathを誘導する薬剤(化学療法、分子標的薬、抗腫瘍抗体など)【原田 守】
  • 2)ウイルス療法(HSVなど)【伊藤博崇・藤堂具紀】
  • 3)がんワクチン(腫瘍抗原、樹状細胞など)【中面哲也】
  • 4)アジュバント【林 智哉・石井 健】
  • 5)免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1、CTLA-4、その他)【高塚奈津子・茶本健司】
  • 6)共刺激因子刺激抗体(OX40、4-1BB、その他)【加藤琢磨】
  • 7)免疫抑制分子・細胞の阻害薬(VEGF、TGF-b、CSF1R、PI3Kg、分子標的薬など)【谷口智憲・河上 裕】
  • 8)T細胞養子免疫療法(TIL、TCR-T療法)【池田裕明】
  • 9)CAR-T療法【保仙直毅】
  • 10)iPS由来免疫細胞を用いた免疫療法(T細胞、マクロファージなど)【河本 宏】

第Ⅱ部 がん免疫療法の臨床開発における課題と対応

第3章 免疫療法のリバーストランスレーショル研究(バイオマーカー・治療標的の同定など)

  • 概論)免疫療法のバイオマーカー・コンパニオン診断【笹田哲朗】
  • 1)悪性黒色腫【大塚篤司】
  • 2)肺がん【各務 博】
  • 3)消化器がん(胃・大腸・食道がん)【中村能章・吉野孝之】
  • 4)消化器がん(肝・胆・膵がん)【田中真二】
  • 5)泌尿器がん(腎・膀胱・前立腺がん)【冨田善彦】
  • 6)婦人科がん(卵巣がん・子宮体がん・子宮頸がん)【濵西潤三】
  • 7)頭頸部がん【榎田智弘・田原 信】
  • 8)造血器腫瘍(白血病・リンパ腫・骨髄腫)【安川正貴】

第4章 臨床開発における重要ポイントと課題

  • 概論)がん免疫療法開発の今後のあり方(総論、FIM試験とリバースTR実施体制など)【小金丸茂博・土井俊彦】
  • 1)がん免疫療法の臨床試験(臨床試験デザイン、免疫モニタリング、治療効果判定法)【影山愼一】
  • 2)免疫療法の副作用(irAE・CRS)の理解と対策【久保輝文・鳥越俊彦】
  • 3)がん免疫療法とがんゲノム医療・遺伝性腫瘍の課題(診断、倫理的な課題)【平沢 晃】
  • Overview――がん免疫療法の今後の展望【珠玖 洋】

※ タイトルはすべて仮題です.内容,執筆者は変更になることがございます.