企画/津田 誠(九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野)
末梢組織から脳への侵害刺激信号の流れは古くから知られています.一方,生物は多様な刺激をどのように区別し伝達しているのか,そして「痛み」はどのように発生するのかはほとんどわかっていません.そのようななか,近年の1細胞遺伝子解析から,予想をはるかに上回る神経細胞の多様性と複雑さが示され,それぞれの役割も徐々に明かされています.さらに最近では,痛覚伝達システムが細菌感染による免疫・骨細胞応答や,がん細胞制御に重要な役割を担うという,きわめて興味深い知見も示され,その新しい生体ディフェンスと恒常性維持機構が注目されています.本特集では,痛みが生み出される神経化学的なしくみ,痛みが有する新しい側面,その異常による慢性疼痛,そして痛みの克服に向けた治療薬開発のヒントについて,最新の知見をご紹介します.
※ タイトルはすべて仮題です.内容,執筆者は変更になることがございます.