実験医学増刊 Vol.27 No.15

病態解明に迫る

活性酸素シグナルと酸化ストレス

癌,神経変性疾患,循環・代謝異常にかかわるレドックス制御機構と最新の技術開発

  • 谷口直之/監,赤池孝章,鈴木敬一郎,内田浩二/編
  • 2009年09月04日発行
  • B5判
  • 243ページ
  • ISBN 978-4-7581-0301-5
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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近年注目の集まる“シグナル伝達因子”としての活性酸素,その生理機能の解明からみえてきた酸化ストレスと多彩な病態メカニズムの関連を,最新の研究知見とともに紹介!あらゆる分野の研究者必読の一冊です!

目次

第1章 活性酸素・NO の生理機能

1. 活性酸素シグナル生成系の制御機構【住本英樹】

  • 1. 種々のROS 生成系について
  • 2. Nox の構造とROS 生成
  • 3. Nox とDuox によるROS 生成の制御機構

2. ミトコンドリア活性酸素生成とシグナル制御【井手友美/筒井裕之】

  • 1. ミトコンドリアにおける活性酸素の産生とその消去系
  • 2. 活性酸素とアポトーシス

3. チオール基の修飾による活性酸素のセンサー機能制御【澤 智裕/有本博一/赤池孝章】

  • 1. チオール基の修飾とシグナル伝達
  • 2. 新しいチオール基の修飾:タンパク質S-グアニル化

4. 親電子シグナル伝達【熊谷嘉人】

  • 1. 親電子物質の反応性
  • 2. 内因性親電子物質
  • 3. 親電子物質によるシグナル伝達
  • 4. 親電子シグナルの可逆性
  • 5. 親電子シグナルの制御にかかわるシステム

5. SNO 化修飾によるシグナル伝達の新展開【松本明郎】

  • 1. NO によるシグナル伝達
  • 2. SNO 化によるシグナル制御
  • 3. SNO 化の制御機構

6. NO ・ニトロソ化シグナルと細胞死【上原 孝】

  • 1. 細胞質タンパク質に対する作用
  • 2. 小胞体タンパク質への作用
  • 3. ミトコンドリアへの作用

7. 活性酸素によるリン酸化シグナル制御【鎌田英明】

  • 1. チロシンホスファターゼによるリン酸化シグナルの生成
  • 2. ROS によるNF-κ B とMAPキナーゼカスケードの制御
  • 3. メチオニン酸化によるキナーゼの活性化

8. G12/13 タンパク質による活性酸素シグナリング【西田基宏/仲矢道雄/黒瀬 等】

  • 1. Ang Ⅱによる活性酸素生成とG12/13 タンパク質
  • 2. G12/13 タンパク質と心臓の線維化
  • 3. ROS の標的分子としてのG タンパク質

9. 植物におけるNADPH オキシダーゼの制御機構【Hann Ling Wong/石川洋輔/島本 功】

  • 1. 植物のNADPH オキシダーゼ
  • 2. 植物のG タンパク質Rac によるrboh の制御
  • 3. rboh の活性化におけるCa2 +シグナルとリン酸化の役割

10.植物のストレス応答・形態形成における活性酸素種の積極的生成とその制御—活性酸素種生成酵素rboh の活性制御機構を中心に【賀屋秀隆/木村幸恵/朽津和幸】

  • 1. 積極的に生成されるROS の機能
  • 2. Nox family ROS 生成酵素rboh の活性制御機構
  • 3. rboh の機能分担
  • 4. rboh を介したCa2+-ROS シグナル

第2章 酸化ストレスと病態

Ⅰ.細胞分化増殖・シグナル異常と再生医療

1. ER と酸化ストレス【井原義人】
  • 1. ER におけるタンパク質の酸化的折りたたみ
  • 2. ER におけるレドックスホメオスタシスとROS の生成
  • 3. ER ストレスとは
  • 4. ER ストレスと酸化ストレスのクロストーク
  • 5. 酸化ストレスによるER 内Ca2+制御タンパク質の機能修飾
2. アポトーシスと酸化ストレス—酸化ストレス誘導性アポトーシスにおけるNoxa の役割【相川知徳/新沢康英/辻本賀英】
  • 1. アポトーシス経路とミトコンドリア
  • 2. Bcl-2 ファミリータンパク質
  • 3. 過酸化水素刺激によるアポトーシスはミトコンドリア経路依存的である
  • 4. BH3-only タンパク質Noxa の関与
3. 幹細胞ホメオスタシスと酸化ストレス【平尾 敦】
  • 1. 造血幹細胞の活性酸素レベル
  • 2. 造血幹細胞機能と活性酸素
  • 3. 乳癌幹細胞と活性酸素
4. 眼表面と酸化ストレス【榛村重人/坪田一男】
  • 1. 酸化ストレスと角膜上皮幹細胞
  • 2. 酸化ストレスと眼表面疾患
5. グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4,PHGPx)による胚発生・精子形成の制御機構【今井浩孝】
  • 1. 3つのタイプのGPx4 の構造
  • 2. GPx4 の胚発生過程,細胞増殖における役割
  • 3. GPx4 の精子形成,精子機能における役割

Ⅱ.炎症・発癌と変性疾患

1. 酸化的翻訳後修飾タンパク質の解析でみえてきた肝・消化管炎症病態の新展開【内藤裕二/吉川敏一】
  • 1. 炎症惹起・増悪因子としての酸化的翻訳後修飾タンパク質
  • 2. 炎症性腸疾患とOPTM
  • 3. ヘリコバクター・ピロリ感染慢性胃炎とOPTM
  • 4. 痛み感受性受容体(TRPV1)と炎症反応
  • 5. 非アルコール性脂肪肝炎とOPTM
2. チオレドキシンによる酸化ストレス防御とレドックスシグナル制御【増谷 弘】
  • 1. チオレドキシンの発現・機能
  • 2. ミトコンドリア型チオレドキシン,TRX2
  • 3. TBP-2/Txnip/VDUP1
3. 酸化ストレス誘発発癌機構の解明─フリーラジカル傷害に弱いゲノム領域を探る【大原浩貴/豊國伸哉】
  • 1. 酸化ストレスと発癌
  • 2. 分子レベルでみた酸化ストレス誘発発癌機構
  • 3. 酸化ストレス誘発発癌モデルにおける標的遺伝子
  • 4. オキシゲノミクス─染色体領域と酸化ストレス
4. 塩基除去修復酵素MUTYH に依存したプログラム細胞死と発癌抑制機構【中別府雄作】
  • 1. 8-oxoG のゲノム蓄積を防ぐ酵素系の欠損と発癌
  • 2. 8-oxoG のゲノム蓄積とMUTYH 依存性細胞死
  • 3. MUTYH による発癌抑制機序
5. ALS における酸化ストレスおよび酸化型SOD1 の関与【藤原範子/松本紋子/鈴木敬一郎/谷口直之】
  • 1. 家族性ALS をめぐる酸化ストレス仮説の変遷
  • 2. 酸化型SOD1 のALS への関与

Ⅲ.呼吸・循環・代謝異常

1. H2O2 が制御する血管弛緩反応の分子機構【佐藤公雄/下川宏明】
  • 1. 内皮由来過分極因子(EDHF)/H2O2 説の提唱
  • 2. EDHF としてのH2O2
  • 3. 酸化ストレスとしてのH2O2
  • 4. 酸化ストレス分泌タンパク質Cyclophilin A の血管リモデリングにおける役割
2. 慢性腎臓病における鉄の重要性【蓮池由起子/中西 健】
  • 1. タンパク尿と酸化ストレス
  • 2. RA(レニン・アンジオテンシン)系
  • 3. CVD(心血管疾患)
3. COPD における酸化ストレス病態【別役智子】
  • 1. オキシダント・アンチオキシダント不均衡説
  • 2. 酸化ストレスと細胞のアポトーシス
  • 3. 抗酸化遺伝子と喫煙感受性
  • 4. 細気管支上皮細胞における抗酸化遺伝子の誘導
  • 5. 肺胞被覆液における酸化ストレス
4. 糖尿病合併症および糖尿病発症における酸化ストレスの意義【西川武志/荒木栄一】
  • 1. 糖尿病合併症発症の分子メカニズム
  • 2. 細胞内活性酸素とミトコンドリア電子伝達系
  • 3. 糖尿病発症とミトコンドリア由来活性酸素
  • 4. 酸化ストレス抑制による糖尿病合併症治療
5. 酸化ストレスによる貧血─造血幹細胞の老化と赤血球の酸化【藤井順逸】
  • 1. 造血障害に伴う貧血
  • 2. G6PD 欠損による貧血
  • 3. その他の要因による貧血
  • 4. モデル動物による証明

第3章活性酸素応用研究の最前線

1. 論理的設計法に基づく種選択的ROS 蛍光プローブの開発【浦野泰照】

  • 1. 分子内光誘起電子移動に基づく蛍光プローブの論理的精密設計法の確立
  • 2. 各種活性酸素種(ROS),および関連酵素活性の選択的検出を可能とする蛍光プローブの論理的開発

2. 活性酸素シグナル分子H2O2 を介したユニークなタンパク質修飾機構【内田浩二】

  • 1. レドックス制御によるROS 感知機構
  • 2. H2O2 を介したタンパク質の特異的修飾反応
  • 3. カルボニル試薬陽性の酸化アミノ酸

3. アダクトミクス─ DNA およびタンパク質付加体の網羅的解析【松田知成/足立 淳/周 佩欣】

  • 1. DNA アダクトーム法
  • 2. タンパク質のシステイン酸化修飾変化を定量的に検出するDLIAA 法

4. 活性酸素センサー: nucleoredoxin【三木裕明/船戸洋佑】

  • 1. NRX の「2 回目の発見」
  • 2. TRX ファミリーメンバーとしてのNRX
  • 3. NRX とDvl のレドックス依存的結合
  • 4. NRX によるWnt シグナル伝達のレドックス依存性制御

5. 酸化ストレス作動性TRP チャネルの化学生理学【高橋重成/山本伸一郎/森 泰生】

  • 1. 酸化ストレスをセカンドメッセンジャーを介して感知するTRPM2 チャネル
  • 2. 酸化ストレスを直接的に感知するTRP チャネル

6. 親電子性リガンドセンサーとしての核内受容体PPAR γ【白木琢磨】

  • 1. PPAR γ研究の歴史的背景
  • 2. PPAR γ研究の最近の話題
  • 3. 親電子性リガンドセンサーとしてのPPAR γ
  • 4. 今後の展開

7. 活性酸素がインスリンシグナル伝達に与える影響とその二面性【御簾博文/篁 俊成】

  • 1. インスリン抵抗性と活性酸素種
  • 2. 糖尿病関連ヘパトカインの探索
  • 3. 抗酸化ヘパトカインSeP 過剰によるインスリン抵抗性発症

8. レドックス制御に干渉する小分子のケミカルバイオロジー【川谷 誠/奥村英夫/長田裕之】

  • 1. レドックス制御に干渉する小分子化合物
  • 2. グリオキサラーゼⅠ
  • 3. 破骨細胞機能を阻害する小分子化合物のケミカルジェネティクス

9. Nrf2/Keap1 酸化ストレス応答系による活性酸素シグナル制御【伊東 健】

  • 1. Nrf2 活性化の分子機構
  • 2. Nrf2 による血管内皮細胞の炎症制御機構
  • 3. 血流のずり応力とNrf2

10.NO と植物の感染防御応答【川北一人/加藤大明/樹神博士/柴田裕介/竹本大吾】

  • 1. 植物における感染防御応答へのNO の関与
  • 2. 植物における感染防御応答へのONOO −の関与
書評・感想
  • 説明文も分かり易く、インパクトのある図も多いので、大変気に入っています(企業研究員)
  • 核内受容体PPARgammaとアポトーシスと酸化ストレスの項が、私どもの研究に参考になります(民間研究所)

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  • 【本書名】実験医学増刊:病態解明に迫る 活性酸素シグナルと酸化ストレス〜癌,神経変性疾患,循環・代謝異常にかかわるレドックス制御機構と最新の技術開発
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