実験医学 2004年9月号 Vol.22 No.13

拡大する細胞周期研究

  • 北川雅敏/企画
  • 2004年08月20日発行
  • B5判
  • 117ページ
  • ISBN 978-4-89706-828-2
  • 定価:1,800円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》発生,分化から器官形成に至るまで細胞周期の緻密な制御は必須であり,生命現象の分子基盤と言える.この多様な生命現象と細胞周期をリンクするために,多種の細胞周期関連因子が存在し,ライセンシング,ユビキチンシステム,チェックポイントなどのメカニズムが正確な細胞周期制御を保証している.これら発生,分化から器官形成と細胞周期の連携機構を明らかにするため発生工学的手法がさらに重要になってくる.応用面ではがん治療だけでなく再生医療への展開など細胞周期研究はさらに拡大していく.

細胞周期の制御機構は酵母からヒトまで非常によく保存されており,その異常は癌をはじめとするさまざまな病態と関連していることが知られています.また近年,神経細胞などの細胞分化や細胞増殖,細胞老化,発生過程における制御などの幅広い生命現象にかかわることが明らかとなり,大変注目を集めています.本特集では,哺乳類の細胞周期メカニズムを中心に,次々と明らかになってきたチェックポイント因子と癌抑制との関係,pRBファミリーが司る多面的な役割など,最前線の研究成果をご紹介いたします.さらに,発生過程や組織再生と関連した終末分化細胞における制御機構についても解説しています.

目次

特集

癌から発生・分化,さらに再生医学へ
拡大する細胞周期研究
企画/北川 雅敏
概論〜多様な生命現象の分子基盤としての細胞周期制御機構【北川雅敏】
発生,分化から器官形成に至るまで細胞周期の緻密な制御は必須であり,生命現象の分子基盤と言える.この多様な生命現象と細胞周期をリンクするために,多種の細胞周期関連因子が存在し,ライセンシング,ユビキチンシステム,チェックポイントなどのメカニズムが正確な細胞周期制御を保証している.これら発生,分化から器官形成と細胞周期の連携機構を明らかにするため発生工学的手法がさらに重要になってくる.応用面ではがん治療だけでなく再生医療への展開など細胞周期研究はさらに拡大していく.
酵母の細胞周期制御機構〜DNA複製開始タンパク質のチェックポイント機構における新たな役割【村上浩士】
真核生物には1回の細胞周期につき1回のみのDNA複製を行うために精巧な制御機構が存在する.複製開始のタイミングおよび頻度は複製起点とそこに結合するタンパク質複合体により厳密に調節されている.このタンパク質複合体の構成要素が数多く同定され,複製機構についての概略が近年明らかになってきた.これと同時に,DNA複製の阻害や損傷をモニターするチェックポイント機構についても研究が進展し,複製開始因子とチェックポイント因子との関連について解明されつつある.
DNAダメージチェックポイントとがん抑制メカニズム【仲 一仁/陳 晨/本山 昇】
多細胞生物は細胞分裂に際してゲノムDNAの損傷や複製障害はないか厳格な監視を行っている.そして,もしDNA障害があれば細胞周期を停止し,DNAの修復,アポトーシスや細胞老化の誘導を行って発がんの原因となる遺伝子異常をもった細胞の増殖を抑制している.このようなゲノム監視システムはDNAダメージチェックポイント制御とよばれている.チェックポイント制御遺伝子の変異はヒト家族性腫瘍症候群の原因となることが知られているが,最近マウスを用いた遺伝学的解析よりDNAダメージチェックポイント制御のゲノム安定性維持,さらにがん抑制に果たす役割が明らかになってきた.
細胞周期制御分子の分解機構とがん化【内田千晴/北川雅敏】
サイクリン,CDK阻害タンパク質,またp53やpRBタンパク質に代表されるがん抑制遺伝子産物は細胞周期制御において重要な役割を果たしている.これら細胞周期制御分子は質的および量的な調節機構によって厳密な機能制御を受けている.ユビキチン・プロテアソーム系はこれらの分解を司る量的制御システムの1つである.このシステムの破綻は細胞周期の異常を引き起こし,細胞形質を悪性化すると考えられる.例えば,p53のユビキチンリガーゼであるMdm2はがん遺伝子産物であり,肺癌での高発現が報告されている.またCDK阻害タンパク質p27Kip1のユビキチンリガーゼサブユニットであるSkp2も,がん組織で高発現がみられ,これに伴うp27Kip1の分解亢進が予後の不良に関与することが示唆されている.細胞周期関連因子の分解の異常は細胞のがん化につながると言えよう.
細胞周期と細胞分化をつなぐRB遺伝子の多面的役割【手石方康宏/竹林徹朗/畠山昌則】
初のヒトがん抑制遺伝子として単離されたRB(Retinoblastoma)遺伝子によってコードされるpRBはp107,p130とともにpRBファミリーを構成し,細胞周期におけるkey regulatorとして機能している.RBノックアウトマウス(RB−/−マウス)は胎生期13.5日で致死であるが,その表現型の解析により,RBが発生・分化過程において重要な役割を担っていることが強く示唆された.さらに近年,コンディショナルノックアウトマウスを作製することにより,個体レベルでのRBの機能をより詳細に解析することが可能になるとともに,多くの組織の終末分化におけるRBの役割が明らかになってきた.また,in vitroでの細胞株を用いた実験系においてもpRBファミリーのもつ新しい機能が明らかとなってきた.
細胞周期制御分子の発生過程に果たす役割〜遺伝子操作マウスは何を語るか?【中山啓子/中山敬一】
サイクリンとCDK(cyclin dependent kinase)は細胞周期のエンジンとよばれ,細胞が増殖する際に必須の分子と考えられてきた.ところが,過去数年の間に報告された遺伝子操作マウスの結果は,CDK2やcyclin Eが存在しなくとも正常に産まれ,細胞の増殖可能であることを示している.この事実は今までの哺乳類細胞周期研究に新しい材料を与え,哺乳動物での細胞周期制御機構の研究に新しい視点での展開を求めることとなった.その1つの方向性は,多細胞生物でのみ観察される現象である発生や分化と細胞周期制御の関係を明らかにすることではないだろうか.
増えない細胞の細胞周期研究〜組織再生と細胞死【池田正明】
心筋や神経細胞は,終末分化とよばれる状態に入った後,一生分裂しないと言われている.終末分化細胞では,細胞周期を促進する因子は抑制され,機能していないと考えられてきた.しかしながら,増えない終末分化細胞においても,G1期に誘導されるサイクリンDなどが発現しているだけでなく,積極的な役割を担っていることが報告されている.サイクリンDは,心筋細胞の肥大に関与し,核内でのサイクリンD1の発現は増殖を誘導する.一方,神経細胞におけるサイクリンDの活性化は,細胞死の誘導に関与することが明らかになってきた.

トピックス

カレントトピックス
SIR2は姉妹染色分体間結合を介してリボソームRNA遺伝子を安定化している【小林武彦】
Cnot7はRXRβと協調し,精子形成に必須の役割を果たす【中村能久/山本 雅】
アポトーシス細胞の貪食障害と自己免疫疾患【華山力成/田中正人/長田重一】
ゼブラフィッシュの上皮−間葉転換を制御するZincトランスポーターLIV1の同定【山下 晋/宮城智恵美/平野俊夫】
News & Hot Paper Digest
Racの局在の違いが好中球の機能発現に重要【太田安隆】
品質管理をめぐるウイルスとの戦い【美宅成樹】
Regulator of murine telomere(Rtel)geneと新しいテロメア測定法【神森 眞/田久保海誉】
TCAサイクルの中間代謝物が血中をわたり腎に作用する【西谷真人】
リンパ管遺伝子からカポジ肉腫の起源を探る【平川聡史】

連載

アカンやないか! 失敗に強いバイオ研究者になるために ★新連載★
第1回 そんな基本動作じゃアカンよ!【野村慎太郎】
クローズアップ実験法
フォトブリーチング法による蛍光標識タンパク質の細胞内動態解析(2)【木村 宏】
コンピュータ活用術
第9回 Perl入門(2)シークエンスをPerlで処理しよう【小林慎治】
疾患解明Overview
第7回 静脈血栓研究の新たな展開【貝原 眞】
イメージングで解き明かす生命機能
第15回 モノクローナル抗体を用いたポリグルタミン酸化チューブリンの神経細胞内局在【新井孝夫】
ラボレポート−留学編−
アットホームなアメリカンラボ〜Stanford University School of Medicine【鍋島建太郎】
学会・シンポジウム見聞録 ★特別編★
第57回 日本細胞生物学会大会をふりかえって【米田悦啓】
A-IMBNベトナム・ミニシンポジウム【渡辺すみ子】

関連情報

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