実験医学2022年4月号 ラボ百景

古い病理形態学を大切に,革新的銅鉄実験をめざす

榎本 篤
 #9 榎本篤研究室

古い病理形態学を大切に ,
革新的銅鉄実験をめざす
榎本 篤 教授プロフィール
1998 年名古屋大学医学部卒業 .大垣市民病院 ,名古屋大学医学部
分院腎臓内科・予防医療学(博士課程)
,杏林大学医学部薬理学,日
本学術振興会特別研究員,名古屋大学高等研究院テニュアトラック,
名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学准教授を経て ,2020 年
より同分子病理学教授.病理専門医の指導とともに,組織の間質を構
成する線維芽細胞等に焦点をあてた stromal biology を展開してい
る.趣味:高尚な趣味はないが,わんちゃんと(お酒をのみながら)
の会話・(お酒をのみながら)いろんな研究者と楽しく話すこと.
本コーナーでは,PI やラボの写真とともに,研究生活の日常やラボの特徴についてご紹介いただきます.誌面上でのラボ見学をお楽しみください.

どんな研究室ですか?
名古屋大学医学部のキャンパスは名古屋駅から中央

さん 1 名で構成されています .これまで ,私自身は腎

線で6 ∼ 7 分の鶴舞駅に隣接し,鶴舞公園,名古屋工業

臓病学,腎臓生理学,チロシンキナーゼのシグナル伝

大学,イオンタウンに囲まれたところにあります.医

達,細胞生物学の分野を転々としてきましたが,現在

学部は昨年 ,創基 150 周年を迎えました.病理学教室

はがんや線維化疾患の間質で増生する線維芽細胞の多

はその名前を変えることなく 150 年前から脈々と続い

様性やその制御法の解明をめざした研究をしています.

てきた研究室であり ,先輩方に恥じないような研究を

研究者人口が圧倒的に少ない分野であり,まだまだ私

すすめないといけないと考えています .メンバーは現

達のような小さなラボでも戦えるかもしれない分野だ

在,教員 4 名,研究員 1 名,大学院生 6 名,臨床教室か

と考えています.最近ではがんの進行と抑制のそれぞ

らの大学院生・教員 10 名,技術補佐員さん 2 名,秘書

れに重要な線維芽細胞を同定し,その形質を変換する
薬剤を開発することをめざしています.共同研究者の
方々の相当なご尽力により医師主導治験も開始されま
した(https://www.raqualia.co.jp/topics/20210311_
004104.html)
.本プロジェクトに関して企業との共同
研究も展開しています.多くの共同研究者にも恵まれ
ており,この場を借りて感謝申し上げます.

◀名古屋工業大学側からみた医学系研究棟.左から 1 号館,
2 号館,3 号館.真ん中の 2 号館に基礎研究室の多くが入る.

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実験医学 Vol. 40 No. 6(4 月号)2022
続きは本誌にて御覧ください.
この記事の掲載号

実験医学2022年4月号
スパコン・クラウドを生命科学に使う

小笠原 理/企画