接合体のもつ一対の遺伝子のうちの1つに突然変異が起こっても,ほとんどの遺伝子では,残った野生型遺伝子からつくられるタンパク質で不足分をまかなえる.この場合,突然変異は劣性になる.しかし,Notch,Deltaなどの少数の遺伝子においては,野生型遺伝子1つ(ハプロイド)からつくられるタンパク質では量が不足することから,突然変異と野生型遺伝子のヘテロ接合体で優性の表現型(機能が不全)がみられる.このような現象がハプロ不全である.したがって,ハプロ不全を示す遺伝子は,優性遺伝子となる.ハプロ不全では,dominant-negative(優性阻害)による優性遺伝子とは異なり,突然遺伝子の産物が,正常遺伝子の産物の機能を阻害することはない.