前述したように第1文型や第3文型受動態の文では,動詞の後に前置詞が続くことが多い.この点は,動詞の使い方のポイントとなるのでさらに詳しく考えてみよう.
自動詞の後の前置詞は,その後の名詞と前の自動詞との関係を示すために用いられる.そして,自動詞+前置詞の多くはセットで一つの意味を作るという特徴もある.たとえば次のような動詞(表3-1)は,前置詞以降がなければほとんど意味をなさない.
serve as ~ | ~として働く |
result from ~ | ~に起因する(~から生じる) |
result in ~ | ~という結果になる |
consist of ~ | ~からなる |
depend on ~ | ~に依存する |
lead to ~ | ~につながる |
表3-1. セットで使われる自動詞+前置詞の例
ここでおもしろいのは,result inやlead toの代わりに他動詞のproduceを使っても意味はあまり変わらないことである.つまり,このような自動詞+前置詞は他動詞と同じような働きをするわけだ.前置詞は日本語で言えば「てにをは」のようなものであるが,種類がとてもたくさんあり,それぞれ固有の意味を持つ.表3-1にあるように,asなら「~として」,fromなら「~から」,toなら「~に」という具合だ.たまたま「~を」の場合は前置詞を省略できて,そのとき使われる動詞が他動詞だとしたらどうだろうか.このように考えれば,自動詞+前置詞が他動詞に似ていることが全く不思議でなくなる.
前置詞の使い分けには慣れが必要であるが,どれを使うかは前の動詞によってだいたい決まっているので,きちんと整理しておけばそれほど迷うことはない(表3-1).たとえばresultの場合は,前置詞のinを用いることが非常に多い.そこで,result inで「~という結果になる」と覚えておけば,使いこなすことができるわけだ.さらにresult fromの用例も多いが,この場合は「~に起因する(~から生じる)」という意味になる.このように自動詞では後に続く前置詞を変えることによって意味を使い分けることができるという特徴もある.
下の表3-2のような例を考えると,自動詞だけでなく他動詞受動態+前置詞も能動態の他動詞と似ているように思える.前章で述べたbe associated with(例文19)などはその典型的な例である.
be considered as~ | ~であると考えられる |
be derived from~ | ~に由来する |
be involved in~ | ~に関与する |
be based on~ | ~に基づいている |
be related to~ | ~に関連する |
be associated with~ | ~と関連する |
表3-2. セットで使われる受動態+前置詞の例
英語の表現を考えるときに,「自動詞+前置詞」,「受動態+前置詞」,「他動詞」の3つを同列に並べることができることを知っていれば動詞の選択の範囲が広がってくであろう.下の3つが似ているというわけである.
ただし,動詞の後の前置詞には,前の動詞との結び付きが強いものと,後ろの名詞との結び付きが強いものとの2種類がある.これまで述べた例は前者である.そこで,後ろの名詞との結びつきが強い場合の例を表3-3にまとめておく.
at ~ months | ~ヶ月で |
for ~ days | ~日の間 |
within ~ h | ~時間以内に |
over the past decade | この10年間に |
at baseline | ベースラインで |
at high levels | 高いレベルで |
at pH 7 | pH7で |
under these conditions | これらの条件下で |
表3-3. よく使われる副詞句の例
時や場所を意味するを副詞句の先頭の前置詞は後ろの名詞との結び付きが強いことに注意しよう.もちろん前置詞は前と後をつなぐ語であるからその両方に関係がある.結び付きの強さに差があるといってもあくまで相対的なものにすぎない.
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