どのような主訴・症状の患者さんに心電図をとるべきか?どのような所見を予想して心電図を読むのか?患者さんを前にした医師に必要な思考プロセスを解説.豊富な症例で,多様なパターンの心電図を読む力が身につく!
ありそうでなかった心電図の本が登場!確かに心電図というと,脈拍は~,軸は~,P波が~,PQ時間がぁ~,QRS波が~,つながってるかぁ~…Zzzz…と心電図の生理から入る本が多すぎて,抜群の睡眠導入薬になっている.もちろん生理学的意味付けがわかると臨床応用も利くが,順番は逆でしょっていう感じ.超音波の理論を知らなくても超音波は使えるし,冷蔵庫の冷えるしくみは知らなくても冷蔵庫は使える.心電図だって,波の起源を知らなくても,患者さんを助けることはできるのだ.きちんと診断の能力がついてから,電極の配置による波形変化の意味がわかると記憶に残りやすいので,生理学的アプローチを否定するものではない.本書の内容をつかむのを先にした方がぐんと臨床応用できるから,その後,生理学アプローチの心電図本を読むといい.
本書が特筆すべきは症候別に一般的な臨床推論と並行して,心電図で手がかりをつかめる疾患を各章の扉に配したことだ.これは初学者のみならず,すべての医者が頭のなかにまず入れておかないといけないことだ.臨床推論も網羅的リストから,致死的疾患 vs よくある疾患を対比させているのは,執筆者が臨床をよく知っている証拠だ.
症候から攻め,診断に迫る執筆の流れは実臨床に沿って勉強しやすい.とにかく臨床の現場で使える心電図の本という実感を得た.そのうえ解説はたいへんよく文献検索されており信頼性が高く,読みごたえがあって,なかなかこれほどの類書は見当たらない.
ただ心電図を読むだけに終わらず,きちんと臨床の診断過程や治療にまで言及している本は少なく,多くの初期後期研修医,実地医家に責任をもって推薦できる良書に仕上がっている.心電計では異常を指摘できないWellens’症候群やde Winter’s ST/T complex,ARVDなど心電図マニアの医師が読んでもたいへん勉強になる内容が満載だ.
EM Alliance教育班はあの手この手を使ってアメリカ救急医学会の生涯教育講座にも負けない努力をしているが,そのEM Alliance教育班の若手執筆陣が渾身の力で書き上げた珠玉の心電図本だ.編者の渡瀬剛人先生はお酒だけじゃなく,心電図にも強いんだと造詣の深さに恐れ入った.
たった1枚の心電図であっても,それを読む能力の差で患者の予後を大きく左右するとしたら,それこそあなたが読まないわけにはいかないでしょう.一度読んだだけでは覚えきれないであろうから,くり返し読んで本書の内容をぜひとも自分の血と肉にしてほしい.
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