レジデントノート:外来診療をはじめよう〜救急や病棟とは一味違った診療プロセスを意識して、一般外来患者さんを上手に診よう!
レジデントノート 2020年2月号 Vol.21 No.16

外来診療をはじめよう

救急や病棟とは一味違った診療プロセスを意識して、一般外来患者さんを上手に診よう!

  • 石丸裕康/編
  • 2020年01月10日発行
  • B5判
  • 156ページ
  • ISBN 978-4-7581-1638-1
  • 定価:2,000円+税
  • 在庫:あり
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特集にあたって

特集にあたって

石丸裕康
(天理よろづ相談所病院 総合診療教育部)

私が外来研修を開始したのは,初期研修2年間を終え,後期研修をはじめた3年目からでした.初期研修は,病棟診療と救急外来が中心であり,それなりに経験を積んでいたつもりでしたが,外来をはじめてみると戸惑うことが数々あったことを覚えています.

まず,主訴や問題点が曖昧な患者さんが多いことに悩みました.「頭も痛いし,お腹も痛いし,体もだるい」というようにさまざまな訴えのある患者さんは外来では稀ではなく,どのようにアプローチしたらよいのかがよくわかりませんでした.また,長々と病歴を聞いた結果,患者さんの症状の原因が,かわいがっていた飼い犬が亡くなった,などの非医学的なものであった,といったことがしばしばあることに驚きました.

救急外来と一般外来は,実際に経験してみると大きく違います.初期研修の主なフィールドである救急外来や入院診療では,例えば「呼吸困難で来院」とか「肺がんの化学療法目的」など,問題点が明確であることが多いでしょう.一方で一般外来では,問題点がぼんやりしており,真の受診目的がわかりにくい場合が多いことに気づくと思います.そうした曖昧な状況をどう取り扱うのか,外来でのコミュニケーションを勉強するなかで,「解釈モデル〔「外来におけるコミュニケーション」(pp.2782〜2788)参照〕」といった考え方に出会い,目から鱗が落ちたことを覚えています.そしてそのような視点で経験を積み重ねていくと,実は入院している患者さんや救急外来の患者さんの受診の目的や背景も,よくよく探ってみると単純ではないということが逆に理解できるようになりました.

考えてみますと,研修医の皆さんも,入院したり,救急外来を受診したり,という経験はそう多くはないと思いますが,内科や小児科の外来を受診した経験がない,という人はいないでしょう.外来診療は,日常の生活とより密接につながった医療の入り口であり,多くの人にとって身近な経験ですので,本来医療の基本としてすべての医師が学ぶべき診療の場なのだと気づかされます.

従来,外来診療は,救急や入院で身につけたスキルを応用すればよい,と考えられがちでした.しかし実は,上記のようなコミュニケーション能力以外にも,例えば,答えを出さなければならない速さの違い(タイムマネジメント),慢性疾患の適切な管理,予防医療,行動変容への働きかけ,など切り口の違ったアプローチが必要となります.外来研修においては,救急外来や入院診療で学んだ診療プロセスを基本としつつ,異なる面について意識して学習することが必要なのです.

本特集は,こうした外来研修で学ぶべき重要なポイントについて,経験豊かな先生方からアドバイスしていただくような内容となっています.また,指導医の先生方にとっても,普段意識せず自然に行っているような外来の奥義を改めて確認できるような内容となっているのではないかと思います.

私からも少しアドバイスさせていただきたいと思います.

❶ 結果を確認する習慣をつけよう

救急外来では普通に帰してしまう風邪も,一般外来では,何らかの重篤な疾患のはじまりの症状であったりします.普通の風邪がどのような経過をたどるのか,など疾患の自然歴を学ぶ意味でも可能であればフォローし,経過の最後まで見極めるようにしましょう.またほかの診療科に紹介した患者さんや,指導医の外来でフォローとなった患者さんについても,診療録上で必ず転帰を確認してください.

❷ 外来の記録は未来の自分への申し送り

外来診療では時間もなく,また次回も自分が診療するような環境となると,外来の記録は最低限の簡潔なものとなりがちです.ただ,次回の外来時に前回自分がどう考えていたのか,詳細に思い出せないことも多いです.未来の自分への申し送りのつもりで,誰が見てもわかるような診療録作成につとめましょう.

❸ 患者さんの人生に興味をもとう

入院や救急の場と比較して,外来は患者さんにとってより生活の場と連続したものとなります.また介入するべき問題も,より長期戦となることが多く,マネジメントのうえで患者さんのことをよく知ることが大切になります.家族,仕事,生活,ときにペットや趣味のことなどが,適切なマネジメントの鍵となることがあります.診断・治療につながる直接的な情報だけでなく,そうした情報も重要であることを学んでください.

外来研修は本特集で扱われるようなさまざまな視点からみると本当に深く,毎回学びのある興味の尽きない場だと思います.本特集が,皆さんの外来研修に少しでも手助けとなり,より楽しい研修となることを願っております.

著者プロフィール

石丸裕康 Hiroyasu Ishimaru
天理よろづ相談所病院 総合診療教育部
長年病院で外来をしていますが,今でもいろいろな問題に気づかされ,学ぶことの多い毎日です.現在は,多疾患併存(マルチモビディティ)のマネジメントについて,など複雑な背景をもつ患者の診療について関心をもって実践しつつ勉強しています.

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