レジデントノート:心電図のキホン 救急で使いこなそう!〜研修医がよく遭遇する7つの主訴を前にして、どこに焦点を絞るのか、どう対応すべきかがわかる!
レジデントノート 2021年4月号 Vol.23 No.1

心電図のキホン 救急で使いこなそう!

研修医がよく遭遇する7つの主訴を前にして、どこに焦点を絞るのか、どう対応すべきかがわかる!

  • 矢加部大輔/編
  • 2021年03月10日発行
  • B5判
  • 170ページ
  • ISBN 978-4-7581-1659-6
  • 定価:2,200円(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり
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特集にあたって

特集にあたって

矢加部大輔
(国立病院機構 九州医療センター 循環器内科)

ますます身近になる心電図

1897年にオランダの生理学者であるWillem Einthovenが四肢誘導心電図の記録にはじめて成功して以来,12誘導心電図は現在の臨床現場で広く使用されています.現在では携帯型心電計(Amazonなどで購入できます)を用いれば,誰でも心電図を自分でとることができるようになったため,それを病院に持参してくる患者さんもいらっしゃいます.日本でもついに利用可能となりましたが,Apple watchを用いて心電図をとることができ,NEJMにも「Apple watchを用いて心房細動を検出できるかどうか」という臨床研究が発表されました1).このように,心電図はより我々の生活に身近なものになってきています.

心電図は「読む」ものではなく「使う」もの

研修医だった10年前,私は心電図に対して大変苦手意識がありました.特に,当時感じていたことが2つあります.1つ目は,心電図所見の多種多様さです.当時心電図を読むのが大の苦手で,また問題集も3日坊主で続かず,見かねた先輩から教えてもらったのが,「心電図ファイル」でした.それは,自分が担当した患者さんの心電図を集める,というただそれだけのことでしたが,同じような心筋梗塞の症例を集めて比べてみると,ST変化を認める部位が症例によって異なっていたり,あるいは全く異常所見がなかったりするものまでさまざまで大変驚いたのを覚えています(と同時に,安易に胸痛患者を救急外来から帰宅させることに対する恐怖も感じました).2つ目は,上級医の心電図判読に要する時間の短さです.救急外来で循環器内科にコンサルテーションすると,彼らは心電図の判読に時間をあまりかけておらず,「読むのが早いなあ,本当に読んでいるのか?」と疑ったことを覚えています.しかしこれは,心電図判読が早いということではなく,必要な情報にfocusを絞って心電図を判読していたのです.初期診療は,主訴からはじまり,身体所見・検査所見・鑑別診断・治療と流れるように行わなければなりません.そこには必ず一貫した思考過程があります.時間が限られている救急外来では,OSCEのような幅広い病歴聴取や,頭のてっぺんからつま先までの身体所見は必要なく(時間があれば行ってください),focusを絞って行う必要があります.そして,これは心電図でも同様です.上級医は考えられる鑑別診断(例えば胸痛→急性冠症候群疑い)から,「ST変化があるはずだ」「症状はとても心原性らしいが,ST変化がないのはおかしい(偽陰性かもしれない)」と,必要な情報を読みとっていたということになります.つまり,心電図はあくまで診断のためのtoolなのです.

10年経った今,心電図が苦手だった私は,気づいたら不整脈専門医としてカテーテルアブレーションやペースメーカー治療など,より心電図・不整脈を専門的に扱う仕事をするようになりました.そんな今でも,心電図1枚で治療方針ががらりと変わることはよく経験しますし,時に心電図のなかのわずかな所見に惑わされたり,新しい発見に感動したりすることもあり,私の心を掴んで離しません.

本特集のコンセプト

2021年現在,昨年から続く新型コロナウイルスの流行により,医学生や初期研修医の皆さんをとりまく環境は随分変わったことと思います.病院見学が制限され,勉強会もままならない状況ではないでしょうか.経験できる症例数が少なく,焦りを感じておられる先生も少なくないと思います.そこで私たちは,研修医であれば誰しも経験するであろう,救急外来・初期診療での対応に焦点をあて,「主訴×心電図」というテーマで特集を組ませていただくことになりました.皆さんが,まさにこれから心電図を使って診断・鑑別し治療を行う場面を想定できる内容にしてもらえるように,若手医師への教育をさかんに行い臨床現場で活躍されている7名の先生方に執筆を依頼しました.今回の特集が,これからの初期研修に悩む若手の先生たちの不安を軽減し,心電図に少しでも興味をもってくれることを願ってやみません.

引用文献

  • Perez MV, et al:Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation. N Engl J Med, 381:1909-1917, 2019 (PMID:31722151)

著者プロフィール

矢加部大輔 Daisuke Yakabe
国立病院機構 九州医療センター 循環器内科
手稲渓仁会病院,九州大学病院を経て現職.現在は主に不整脈疾患の治療・研究に心血を注いでいます.心電図は本当に奥が深く,毎日不整脈診療で心電図を見ているはずなのに,毎回勉強になります.奥が深く楽しいこの分野を一緒に勉強してみませんか?やる気あふれる先生方のご意見・ご感想をお待ちしています.
Mail:yakabedaisukegmail.com

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