がん診療における精神症状・心理状態・発達障害ハンドブック

  • 小山敦子/編,吉田健史/他
  • 2020年08月03日発行
  • B6変型判
  • 215ページ
  • ISBN 978-4-7581-1880-4
  • 定価:4,180円(本体3,800円+税)
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事例

42歳,女性.夫・小学5年生の娘と同居.
1年前に乳がん多発骨転移と診断,抗がん剤治療を開始.治癒は望めないことも伝えられていたが,「子どものためにも死ねないので治療を頑張ります」と話していた.その後,肺・肝転移が出現.抗がん剤治療を継続していたが全身状態悪化のため入院した.不眠に対しリエゾンチームも介入したところ,抗がん剤が中断していること,母親不在での子どもの生活について心配を話したが,それ以外の問題については話されなかった.状態の改善がみられず,主治医からこれ以上の抗がん剤治療継続を進められないことを伝えたところ,「そんなはずはない,治療方針がおかしいのではないか!」と怒り出し,それ以上の話をすることができなかった.…

秋月伸哉(がん・感染症センター 都立駒込病院 精神腫瘍科・メンタルクリニック)

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せん妄やうつなどの精神症状,否認や希死念慮などの心理状態へのアプローチから,発達障害をもつ患者のケアまで体系的に解説.がん患者の心の問題について手軽に学べる,がん診療に携わる医療従事者のための一冊!

目次

編集の序【小山敦子】

序章

がん患者・家族と接するときの基本【小山敦子】

第1章 精神症状の評価とアプローチ

1)せん妄【奥山 徹】

① せん妄の評価
② せん妄の治療とマネジメント
③ せん妄の予防
④ 終末期におけるせん妄

2)がん患者の適応障害・うつ病【明智龍男】

3)認知症【谷向 仁】

4)不眠【小川朝生】

5)家族・遺族ケア【四宮敏章】

第2章 心理状態の評価とアプローチ

1)否認・怒り【秋月伸哉】

2)希死念慮,自殺企図【吉内一浩】

3)不安と呼吸困難・不定愁訴【松田能宣】

4)がん疼痛と心理 ~ケミカル・コーピングと偽依存の評価【松岡弘道】

第3章 発達障害を疑ったときの評価とアプローチ

1)発達障害について【井上真一郎】

2)ASDの評価とアプローチ【井上真一郎】

3)ADHDの評価とアプローチ【井上真一郎】

第4章 コミュニケーションとチーム医療・スタッフケア

1)がん医療現場でのコミュニケーション【所 昭宏】

2)がん医療現場でのチーム医療【所 昭宏】

3)がん医療現場でのスタッフケア【所 昭宏】

第5章 Case Study

Case① 患者が精神心理的介入拒否で病棟・主治医が困っている【所 昭宏】

Case② 宗教の影響が強く,現実的な目標が共有しにくい【菅野康二】

Case③ 主治医が「時間がない,患者の話を聞いてくれ」とチームや精神担当医に丸投げ【所 昭宏】

Case④ 患者と家族,あるいは家族間で意見が一致しない【四宮敏章】

Case⑤ 抗がん剤が施行困難な時期に「もっと治療をしたい」と望む患者への理想的な声かけ【菅野康二】

Case⑥ 否認・怒りでスタッフを振り回す【秋月伸哉】

Case⑦ 発達障害患者とうまくコミュニケーションがとれない【井上真一郎】

索引

『第5章 Case Study』より抜粋

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書評・感想
  • 慶應義塾大学
    藤澤 大介


    現代的で、実用的な本である。

    序章「がん患者・家族と接するときの基本」で、本書の要点が概観された後、ただちに、せん妄の評価とアプローチに紙面が割かれている。病院におけるがん患者さんの精神ケアで、最も頻度が高く、最も急いで結果を求められるのはせん妄であろう。本書は、まさにそのような現場のニーズを意識した順に構成され、紙面配分されているように見える。

    せん妄の後は、適応障害・うつ病、認知症、不眠、といった“精神医学的”テーマの解説が続く。どの章も過不足なく実践的な内容である。サイコオンコロジーの古典的教科書によく記述されていた “心理”に関する記述(否認・怒りなど)も扱われているが、まず精神医学的アプローチが優先されているところが、本書が実用性をよく表している。

    精神症状と身体状況との連関が扱われている点も見事である。不安は呼吸困難や身体愁訴と結びつけて章立てされている。疼痛に関する心理的問題とケミカル・コーピングがまとめて章立てされている。さらに、発達障害への評価とアプローチに紙面が割かれている点は現代的である。

    7つのケース・スタディーでは、「うまくいかなかったパターン」と「うまくいったパターン」の2つのシナリオが用意され、臨床で陥りがちなピットフォールと、その上手な交わし方が描写されている。それらのシナリオを追う中で、精神・心理的評価のみならず、コミュニケーションやチーム医療のあるべき姿が学べるようになっている。

    駆け出しの臨床家にとっては、本書を拾い読みすることで、短時間で一通りの対応ができるようになるだろう。経験を積んだ臨床家にとっては、本書をじっくりと読むことによって、新しい視点で知識を整理しなおし、それをチーム医療に役立てられることができるだろう。

    今一度繰り返す。現代的で、実用的な良書である。

    『日本サイコオンコロジー学会』webサイトより転載

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  • 【本書名】がん診療における精神症状・心理状態・発達障害ハンドブック
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