レジデントノート:生成AIを臨床研修の味方にしよう! 〜診療の質がもっと高まる、ChatGPT・OpenEvidenceなどの賢く安全な使いこなし方
レジデントノート 2026年5月号 Vol.28 No.3

生成AIを臨床研修の味方にしよう!

診療の質がもっと高まる、ChatGPT・OpenEvidenceなどの賢く安全な使いこなし方

  • 原田 洸/編
  • 2026年04月10日発行
  • B5判
  • 154ページ
  • ISBN 978-4-7581-2751-6
  • 2,750(本体2,500円+税)
  • 在庫:予約受付中

特集にあたって

特集にあたって

原田 洸

 

「この病気の治療,どうしたらいいんだろう?」

そう思ったとき,あなたは何を開きますか.教科書? 参考書? UpToDate? PubMed? いや,最近ではChatGPTと答える研修医も珍しくないでしょう.病棟でも,カンファレンス室でも,当直室でも,スマホやパソコンを開いてChatGPTに質問している研修医の姿は,もう日常の風景になっています.

2022年11月にChatGPTが登場して以来,生成AIは私たちの生活に急速に浸透してきました.医療現場も例外ではありません.米国の調査では,医師の3人に2人が生成AIを使っているという報告もあり1),この数字は年々増えています.これから長い医師人生が待っている研修医の皆さんにとって,生成AIはもはや「使うか・使わないか」の選択ではなく,「どう使いこなすか」が問われる時代になっているのです.

 

使っているけれど,使いこなせていない現実

毎日のように生成AIを使っている,という人もいるでしょう.でも,ちょっと立ち止まって考えてみてください.本当に「使いこなせて」いますか? 「とりあえず質問を投げてみる」「返ってきた答えをそのまま信じる」「なんとなく便利そうだから使っている」…こんな使い方をしている医師が,実は多いのです.

日常診療や学術活動で生成AIを真に使いこなしている人は,まだ少数派です.なかには不適切な使い方でリスクを生んでしまっているケースも見かけます.それに,医学部でも初期研修でも,生成AIの活用方法を体系的に教わる機会はほとんどありません.これだけ革新的なテクノロジーが登場し,医療現場での活用が進んでいるのに,「正しい使い方」「効果的な使い方」「やってはいけないこと」を学ぶ場がない.多くの研修医が手探りで使っているのが現状ではないでしょうか.

 

本特集がめざすもの

そこで今回の特集です.「生成AIを使ったことはあるけど,十分に活用できていない」「もっとうまく使えるようになりたい」「使うのが少し怖い」そう感じている研修医の先生方に向けて企画しました.生成AIという強力なツールを,安全に,効果的に,そして自信をもって使いこなせるようになってほしい.それが私たちの願いです.

総論では,生成AIの仕組みと基本概念,効果的なプロンプトのつくり方,そして臨床現場で起こりやすい誤用やリスクについて,基礎から丁寧に解説しています.ハルシネーション(AIが生成する誤情報)や個人情報の扱いなど,知らないではすまされない注意点も詳しくとり上げました.

各論では,もっと実践的な内容に踏み込んでいます.臨床疑問の整理から,論文検索と読解,患者説明の準備,さらには模擬患者を使った医療面接トレーニングまで.明日からすぐに使える具体的な活用法を紹介しています.それぞれの項目では実際の臨床場面を想定したケースを提示し,「どんなプロンプトを使えばいいのか」「どんな点に注意すべきか」を,手を動かしながら学べるようにしました.コラムとして,米国における医療現場でのAI活用の最前線も紹介します.

執筆陣は,医療界における生成AI活用のトップランナーばかりです.国内外の最前線で活躍する先生方が,それぞれの専門分野から「現場でどう使いこなすか」「どこに注意すべきか」を,実体験と豊富な知見に基づいて語ってくれています.

 

未来の医療を担うあなたへ

生成AIは,これからの医師人生を支える強力なツールになるはずです.情報収集の効率化,診断支援,患者コミュニケーションの向上など,その可能性は計り知れません.ただし,それは「正しく使いこなせれば」という条件付きです.道具は使い方しだいで,薬にも毒にもなります.生成AIも同じです.適切に使えば医療の質を高め,患者さんのためになる.でも誤った使い方をすれば,医療安全上のリスクにもなりかねません.だからこそ今,この時期に正しい使い方を学ぶことが大切なのです.

本特集が,あなたの研修生活,そしてその先の医師人生で生成AIを味方につけるための,確かな一歩となることを願っています.

 

引用文献

1) Henry TA:2 in 3 physicians are using health AI—up 78% from 2023. American Medical Association, 2025
https://www.ama-assn.org/practice-management/digital-health/2-3-physicians-are-using-health-ai-78-2023(2026年2月閲覧)

 

Profile
原田 洸(Ko Harada)
マウントサイナイ医科大学 老年医学・緩和医療科
2016年に岡山大学医学部を卒業.同大学病院にて初期研修・内科専攻医研修を修了後,2021年に渡米しニューヨークで内科レジデントとして勤務.2024年より現職.SNSで生成AIや便利なツールを発信しています.Xアカウント:@Ko__Harada

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