小社HPの好評連載『よろずお助け相談室』が,項目数を倍増して単行本になりました.実例に基づく研修医の質問に,『レジデントノート』でおなじみの林寛之先生が丁寧に答えます.便利な付録カード『医療過誤を避けるTips』付き!
3人の著者たちがカバーしている守備範囲が広いことに驚かれることだろう.カナダの救急医療を学んできた救急総合医の林寛之先生がチームリーダーなのでオタワ足関節ルールからDAまで救急の急所がでてくる.赤城山麓の一般医で在宅,往診,マラソンランナーをこなす菅野圭一先生が太刀持ちなので小外科から蜂刺症まで外来のポイントをついている.老人医学の博士号をもつ救急医という変わり種の岩田充永先生が3人目だけど露払い役なので,ボケからグレープフルーツまで泣き所を攻めてくる.
評者も幅の広い,というかどうでもよい雑学には多少の自信があったが本書の100個の困り話にはまいった.打率でいうとマリナーズのイチロー選手と争うかもしれない.国試レベルなら不合格である.Q14PORTスタディ,Q37のSAD CAGES,Q51のCDC criteria,Q99のAMAぐらいはなんとか内野ゴロぐらいになるだろうが,全くボールにかすらないタマがいくつもあった.
そのひとつ.Q54 肝硬変で食道静脈瘤の存在を予測する因子として,血小板数(個/mm3)をエコーで計測した脾臓の長径(mm)で割った比というのがあるそうだ.この比が909を越えると尤度比無限大,つまり静脈瘤なし.一方909以下だと尤度比3.4とのこと.上部消化管出血できた患者で,アルコール性肝障害がある場合,内視鏡は予定するとして検査前確率20%は妥当だろう.血小板6万,脾長径80 mmだと比750となり,検査後確率は50%近くとなり強気で消化器内科医にコンサルトできよう.
それ以外にも空振りQuestionが一杯あったのだが,そもそも本書は「お助け」マンである.初めから評者のように問題集に臨むごとくひもとくものではない.日常診療のなかでふと気になる疑問を,王道でいく人はPECOをたてて,Up to DateをひいてEBMするはずのところを,親切な兄貴分たちが厳選してまとめてくれたものなのだ.「よろず」と銘うってあるところは「御法度」に通じるのでないかと勘の鋭い若者衆が警戒しているかもしれないので,あらかじめお触れを出しておこう.
「本書はマニュアル系ではない.医局のソファでゴロンとして読みとばすのにふさわしい.一度読み出したら,途中でやめられなく恐れがある.くれぐれも注意をするように.以上」
(評者)聖マリアンナ医科大学救急医学 箕輪良行
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