2017年6月号掲載・2025年5月28日公開

血液ガスというと動脈血で採取するものと思っていませんか? 正常な酸素分圧を測定するためには動脈血で測定する必要がありますが,多くの場合SpO2で判断可能です.そのほか,pHやPaCO2,HCO3,Hb,電解質,血糖値,乳酸値などが血液ガスで判断可能ですが,これらのなかで静脈血でも判断可能なものはあるでしょうか? 以下の2点は覚えておくとよいでしょう1,2)

① pH,HCO3は静脈血液ガスと動脈血液ガスで差なし
② PaCO2,乳酸値は,静脈血液ガスで基準値内であれば,動脈血液ガスでも基準値内

これらを覚えておけば,急変時に点滴ラインを挿入した際の採血を血液ガスで分析し,瞬時に目の前の患者に代謝性アシドーシスがあるか否かが判断可能です.急変時にpHがアシデミア,HCO3が低下していれば,焦る必要があるわけです.動脈血採血は静脈血と比較して痛みが強く,患者さんの負担は大きくなります.また,急変時には極力限られた検査で重要な情報を入手できるにこしたことはありません.静脈血液ガスを上手に利用してください!

引用文献

1) Bloom BM, et al:The role of venous blood gas in the emergency department:a systematic review and meta-analysis. Eur J Emerg Med, 21:81-88, 2014(PMID:23903783)

2) Byrne AL, et al:Peripheral venous and arterial blood gas analysis in adults:are they comparable? A systematic review and meta-analysis. Respirology, 19:168-175, 2014(PMID:24383789)


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