2017年6月号掲載・2025年5月14日公開
目の前の患者が重篤か否かを判断するためには,病歴やバイタルサイン,身体所見が重要なのは当たり前ですが,そこに検査が加われば,鑑別疾患を絞ることが可能となります.
しかし,急変時などバイタルサインが不安定なときにはCTなど場所の移動を要する検査を行うことはできません.また,一般の採血検査は最低でも15分以上時間がかかります.ベッドサイドで行うことが可能かつ迅速に結果が判明する検査を駆使して対応する必要があります.その代表が血液ガス,エコー,心電図(検査の三種の神器)です1).これらの検査を行えば,緊急性の判断は可能となり,「いま何をするべきか」はわかります.
例えば,胸痛の訴えがある患者の心電図でST上昇を認めれば,誰もが自信をもって心筋梗塞と判断しますよね.それではショック徴候を認める患者の脈拍が上昇していない場合にはどのような病態を考え対応するべきでしょうか?
「ショック+徐脈」を引き起こす病態は表の通りです.このうち院内で起こりえるものは,① 高カリウム血症,② 徐脈性不整脈,③ 心筋梗塞,⑦ 血管迷走神経反射,⑧ 薬剤性などでしょう.このなかで緊急性の高い①〜③は検査の三種の神器を使えば判断可能です.研修医のうちにこれら3つの検査は自信をもって行えるようにトレーニングしましょう.
引用文献
1)「救急外来 ただいま診断中! 第2版」(坂本 壮/著),中外医学社,2024