2022年8月号掲載・2026年10月28日公開

感度,特異度,意識していますか? 感度が高い検査は除外診断(rule out)に使うから“Snout”,特異度が高い検査は確定診断(rule in)に使うから“Spin”なんて覚えて,そこから導き出せる尤度比を計算したこともあるでしょう.

しかし,感度が高い検査が陰性だから除外できる,特異度が高い検査が陽性だから確定できるとは限りません.COVID-19を強く疑っている患者さんで抗原検査などが陰性であってもCOVID-19を除外できないことは,皆さん嫌というほど経験していると思います.

また,その感度・特異度がそもそもどのような状況で導き出された数値かを把握していなければ正しく利用することはできません.急性前庭症候群の鑑別として用いるHINTSは,前庭神経炎と脳梗塞の鑑別には優れた指標であり,3項目のうち1項目でも中枢パターンとなれば,脳梗塞に対して感度100%,特異度96%と報告されています1).しかし,この数値はめまい診療に長けている施設,医師のもとで導き出されたものです.身体所見,超音波やCTの読影など,評価する人によって精度は大きく異なります.実際にHINTSも救急医を含むデータでは感度83%,特異度44%と散々たる結果です2).「なぁんだ,そんなに有用な指標ではないんだ」ではなく,「精度を高めるためには,身体所見の質を高める必要があるんだ」という当たり前のことを肝に銘じる必要があります.

感度,特異度について目にする機会は多いと思いますが,その都度,いつ・誰によって・どこで・どのように・何のために導き出されたものかを把握し実臨床に活かしてください.

引用文献

1) Kattah JC, et al:HINTS to diagnose stroke in the acute vestibular syndrome:three-step bedside oculomotor examination more sensitive than early MRI diffusion-weighted imaging. Stroke, 40:3504-3510, 2009(PMID:19762709)

2) Ohle R, et al:Can Emergency Physicians Accurately Rule Out a Central Cause of Vertigo Using the HINTS Examination? A Systematic Review and Meta-analysis. Acad Emerg Med, 27:887-896, 2020(PMID:32167642)


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