問題45のつづき 日中起立時の突然の呼吸困難:初療後24時間が経過 初療後24時間が経過 本症例はショックではないものの,収縮期血圧が100 mmHg前後とやや低めであり,ヘパリンナトリウム持続投与で治療を開始した.その後酸素化の悪化や血行動態が不安定化することはなく,24時間が経過した.心エコー上右心負荷所見は入院時に比べ改善していた. 次に行う治療について最も適切なものはどれか. ⓐヘパリンナトリウムを終了しDOACを開始する ⓑ血栓消失が確認されるまで,このままヘパリンナトリウムを継続する ⓒワルファリンを開始する ⓓ造影CTを撮像し,治療方針を決定する ⓐヘパリンナトリウムを終了しDOACを開始する 日本循環器学会および海外のガイドラインにおいて,血行動態の安定化が得られた症例については,経口凝固薬としてDOACの使用を推奨している. 本症例は右室機能の改善徴候がみられ,血行動態の不安定化リスクが低くなったと考えられ,DOACへの切り替えを考慮するタイミングと考えられる.現在,肺血栓塞栓症,深部静脈血栓症に対して適応があるDOACは,アピキサバン,リバロキサバン,エドキサバンがある.使用プロトコールはそれぞれ異なるため注意が必要である〔問題44の解説参照〕. 妊婦や出血性合併症がすでに起きている場合は,ヘパリンナトリウム持続で経過を見ることがあるが,本症例においては該当しない. 造影CTを行わなくとも,酸素化能や右心負荷の改善程度などを指標に,治療の効果判定は可能であり,治療方針の決定のために必ずしも必要ではない. DOACは投与方法が簡便であり,ヘパリンナトリウム+ワルファリンを使用した従来治療群と異なり,投与量の調整が不要であり,出血性合併症も少ない1〜4). 文 献 Büller HR, et al:Edoxaban versus warfarin for the treatment of symptomatic venous thromboembolism. N Engl J Med, 369:1406-1415, 2013 Bauersachs R, et al:Oral rivaroxaban for symptomatic venous thromboembolism. N Engl J Med, 363:2499-2510, 2010 Büller HR, et al:Oral rivaroxaban for the treatment of symptomatic pulmonary embolism. N Engl J Med, 366:1287-1297, 2012 Agnelli G, et al:Oral apixaban for the treatment of acute venous thromboembolism. N Engl J Med, 369:799-808, 2013 (2022/06/06公開) 戻る この"ドリル"の掲載書をご紹介します 循環器薬ドリル 薬剤選択と投与後のフォローも身につく症例問題集 池田隆徳/監,阿古潤哉/編 定価:4,950円(本体4,500円+税) 在庫:あり 月刊レジデントノート 最新号 次号案内 バックナンバー 連載一覧 定期購読案内 定期購読WEB版サービス 定期購読申込状況 レジデントノート増刊 最新号 次号案内 バックナンバー 定期購読案内 residentnote @Yodosha_RN その他の羊土社のページ ウェブGノート 実験医学online 教科書・サブテキスト 広告出稿をお考えの方へ 広告出稿の案内