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循環器の検査に関する問題

問題53の続き2日前から持続する胸痛を主訴に救急搬送された82歳女性

症例 初診時

82歳女性,独居.近くに娘が住んでいた.健康診断で高血圧,脂質異常症を指摘されるも,本人の希望にて,医療機関を受診しないでいた.2日前から胸部違和感出現.1日前には,一時冷汗を認めるほどの胸痛を認め,一度嘔吐.その後は症状がいったん改善したため,家族に相談せず,自宅で様子を見ていた.その後も胸部違和感は改善なく,食欲低下などを認めたため,家族に連絡し,救急搬送となった.

当院搬送時,意識状態:JCSⅡ-20,血圧70 mmHg台とショックバイタル,末梢冷感も強く,症状を確認すると胸部違和感も持続していた.来院時の血液検査で,白血球:12,000/μg,ヘモグロビン:11.2 g/dL,血清クレアチニン:1.12 mg/dL,AST:100 IU/L,ALT:120 IU/L,CPK:384 U/L,NT-proBNP:21,505 ng/mL,血清トロポニンT:16.7 ng/mLの状態であった.心電図は図1で示す.心エコー上,後壁領域が著明な壁運動低下を認めており,その他,持続する胸痛,採血結果から急性冠症候群を疑う所見と考えられた.

胸痛の診断のために,この時点で行うべき検査はどれか?

  • ⓐ体幹部造影CT
  • ⓑ時間をあけて,採血再検
  • ⓒ心臓カテーテル検査
  • ⓓ頭部CT
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解答

A1ⓒ心臓カテーテル検査

胸痛患者に対する心臓カテーテル検査の適応

病歴から,発症は搬送の前日であり,24時間程度経過している可能性がある.発症12時間以上が経過し,血行動態および電気生理的に安定していて症状が消失している患者に対するprimary PCIの効果は限定的とされている1, 2)が,この患者は意識状態が低下し,胸部症状が残存,何よりバイタルサインが不安定な状況を伴う状態である.

Shock trialでは,STEMI発症後36時間以内に心原性ショックとなり,ショック後18時間以内に緊急血行再建術をした例で,6カ月後の死亡率は有意に低下し,特に75歳未満の患者では有効であった3)との報告がある.また75歳以上でも患者の機能状態が良好であれば,血行再建術により生存率が高まることが報告されている4〜6).よって,心原性ショックを伴う患者に対するPCIは,高いレベルで推奨されている.

以上のことより,この患者に行うべき検査は,早急な心臓カテーテル検査である.

文 献

  1. Schömig A, et al:Mechanical reperfusion in patients with acute myocardial infarction presenting more than 12 hours from symptom onset: a randomized controlled trial. JAMA, 293:2865-2872, 2005
  2. Ioannidis JP & Katritsis DG:Percutaneous coronary intervention for late reperfusion after myocardial infarction in stable patients. Am Heart J, 154:1065-1071, 2007
  3. Hochman JS, et al:Early revascularization in acute myocardial infarction complicated by cardiogenic shock. SHOCK Investigators. Should We Emergently Revascularize Occluded Coronaries for Cardiogenic Shock. N Engl J Med, 341:625-634, 1999
  4. Hochman JS, et al:One-year survival following early revascularization for cardiogenic shock. JAMA, 285:190-192, 2001
  5. Dzavik V, et al:Early revascularization is associated with improved survival in elderly patients with acute myocardial infarction complicated by cardiogenic shock: a report from the SHOCK Trial Registry. Eur Heart J, 24:828-837, 2003
  6. Dauerman HL, et al:Outcomes and early revascularization for patients > or = 65 years of age with cardiogenic shock. Am J Cardiol, 87:844-848, 2001

2024/04/09 公開

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