図1では,とくに左下肺野に粒状陰影の集簇とトラムラインがあり,これまでの経過などからDPBと考えられる.DPBは一般に少量の14員環マクロライド長期投与が有効であることが知られているが,前医ですでにマクロライドは複数種類投与されており改善がみられていない.最近DPB症例は減少しているが,この例のような難治例はまだみられる. 胸部CT像(図2,3,4)でも,小葉中心性の粒状陰影(⑤→)や細気管支末端の分岐状陰影(⑥→)や,壁の厚い拡張した気管支所見(⑦→)がみられている.また,右上葉(⑧→)と右下葉(⑨→)が気管支の収束のために部分的な無気肺を形成しており,右胸腔の容積減少,縦隔の右側への偏移はそのためであることがわかる.
肺機能検査では,%肺活量67.7%,1秒率56.6%と,混合性換気障害が認められた.一般に初期のDPBでは閉塞性換気障害を呈する.
本症例はマクロライド以外にもさまざまな対症療法を行っているが症状の改善はあまりみられていない.
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