画像診断Q&A

レジデントノート 2012年5月号掲載
【解答・解説】乾性咳嗽と顔面頸部の浮腫を主訴とした30歳代女性

ある1年目の研修医の診断

右肺を占めているのは胸水ではないです.肺が外側に見えているので腫瘍だと思います.

Answer

縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫

  • A1:右肺野に縦隔に接する巨大な腫瘤影(図1).右胸水貯留(図1).右第1,2弓のシルエットが消失.縦隔が健側に偏位.
  • A2:解説参照.

解説

縦隔の巨大腫瘍の症例である.本例では体位による呼吸困難の出現はなく,聴診で異常音は聴取されず,気道狭窄を疑う症状・所見を認めなかった.しかし,縦隔の巨大腫瘍による気道狭窄の有無を確認するため,急ぎ胸部CTを実施した.

胸部造影CTでは,右前縦隔から右横隔膜上にかけて分葉状の巨大な腫瘍を認める.腫瘍は縦隔構造を前方から圧排するように占拠していたことから(図2A,B),前縦隔に発生した腫瘍が胸郭内で成長したと考えられた.

縦隔は,前縦隔,中縦隔,後縦隔に区分され,前縦隔からは胸腺上皮性腫瘍の頻度が高く,その他,奇形腫,悪性リンパ腫,胚細胞性腫瘍などがある.中縦隔からは気管支原性嚢胞や食道嚢胞,悪性リンパ腫,迷走神経性由来の神経原性腫瘍もみられる.後縦隔では神経原性腫瘍の頻度が高く,その他,悪性リンパ腫気管支原性嚢胞,食道嚢胞などの先天性嚢胞がみられる1)

前縦隔腫瘍では,画像診断で切除可能な胸腺腫を疑う場合,生検を行わず外科的切除を検討する.本例は,広範な縦隔浸潤から切除不能病変であり,CTガイド下経皮針生検を行い,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)と病理診断された.全身検索の結果,骨髄浸潤はなく,左腎へ播種巣を認めたのみであった.縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large B-cell lymphoma)と診断した.

図1 胸部単純X線正面像 図2 胸部造影CT

クリックして拡大

参考文献

  1. 松尾周也 ほか:画像診断の進歩:どこまで病理診断に迫ってきているか.縦隔腫瘍の画像診断 -その病理学的背景-,病理と臨床,25:1155-1161,2007

プロフィール

大河内 康実(Yasumi Okochi)
社会保険中央総合病院 内科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
社会保険中央総合病院 内科
サイドメニュー開く

TOP