画像診断Q&A

レジデントノート 2012年6月号掲載
【解答・解説】約2週間の経過で肺炎像を呈し入院した高齢男性の1例

Answer

一般細菌性肺炎のような経過と画像所見を呈した結核性肺炎の1例

  • A1:図1は右上肺野の多発性浸潤陰影(① ,②→).
    図2は右上葉の浸潤影(③→),すりガラス陰影(④→),右下葉の粒状陰影(⑤→).
  • A2:咳嗽が出始めてから1~2週間,熱が出てから数日の経過であり肺胞性の濃い浸潤影を呈していることより,一般細菌性肺炎をまず疑う.しかし,WBCが5,900/μLと正常値で,右下葉に粒状陰影があることから,結核性肺炎も鑑別にあがる.
  • A2:抗酸菌検査

解説

本症例は比較的急性の経過をとっており当初非定型肺炎や一般細菌性肺炎を疑った.胸部単純X線写真(図1)で右上肺野に肺門から胸膜側に広がる濃い浸潤影(①,②→) を認め,CT (図2) では右上葉にair bronchogram(エアブロンコグラム)を伴う浸潤影 (③→) と浸潤影周囲にすりガラス陰影 (④→) も認めた.生活歴(スーパー銭湯やプールに週3回ほど通っている) やCT画像所見からはレジオネラ症も疑われたが,外来で施行した喀痰抗酸菌塗抹が陽性でありその後Tb-PCR陽性も確認され肺結核(結核性肺炎)の診断に至った.右下葉の一部にはわずかに小葉中心性の粒状影 (⑤→) もあり同部位に関しては肺結核で矛盾ないと思われたが,右上葉の濃い浸潤影に関しては一般細菌性肺炎の合併もありうると考え当初数日間はセフェム系抗菌薬で経過をみた.すると,臨床症状,画像所見ともに増悪を認めたためPCRの結果を待って抗結核薬の内服を開始した.抗結核薬の投与を開始した後はすみやかに解熱し画像所見も改善を認め,上葉の浸潤影に関しても結核によるものと考えられた.

一般細菌性肺炎のような経過と画像所見を呈した結核性肺炎の1例である.結核性肺炎は青壮年に多く1),その理由として多量の結核菌に対するhyper-ergicな基盤がある (免疫反応が強い)個体に起こる1)ためと推察されてきたが,本症例のような高齢の患者にも起こりうる病態である.近年このような肺炎型結核が増加しているので注意を要する2).また活動性が高いものの排菌量は少ない症例も多い3)とされている.本症例においても喀痰での診断がつかなければ気管支鏡検査の施行が必要になったであろう.また肺炎の治療経過において抗菌薬の反応が悪いときなどは鑑別疾患の1つとして考えるべきであろう.このような一般細菌性肺炎との鑑別が困難な経過と画像所見を呈する肺結核があることを念頭におき診療にあたる必要がある.

図1 来院時胸部X線写真 図2 来院時胸部CT像

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文 献

  1. 「改訂 結核の病理」(岩崎龍郎/著),結核予防会,1997
  2. 徳田 均:肺結核症を疑う時.診断と治療,94:627-630, 2006
  3. 笠松紀雄 ほか:診断に苦慮した「大葉性肺炎」型乾酪性肺炎の検討.臨床画像,45:169-175, 2000

プロフィール

一色 琢磨(Takuma Isshiki)
JR東京総合病院呼吸器内科
山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR東京総合病院呼吸器内科
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