画像診断Q&A

レジデントノート 2013年7月号掲載
【解答・解説】両側水腎症の原因を探る!

Answer

神経因性膀胱

  • A1:神経因性膀胱(neurogenic bladder)
  • A2:脊髄脂肪腫〔脊髄係留症候群(tethered cord syndrome:TCS)疑い〕

両側腎盂,尿管に拡張を認め(図1A,B)水腎・水尿管の所見である.膀胱壁は肥厚し(図1D)肉柱形成(trabeculation)の所見である.憩室(pseudodiverticulum)も多発している(図1D).CT urographyでは膀胱は縦に拡張し,クリスマスツリー様変形を呈していることがわかる(図2).以上,神経因性膀胱の所見である.

また,椎弓癒合不全を認め(図1C),脊柱管内に脂肪腫が認められる(図1B).膀胱所見とあわせて脊髄係留症候群が疑われる.

解説

神経因性膀胱とは,排尿に関与する神経の障害によって生じる排尿障害をいう.要因はさまざまで,二分脊椎,脊髄係留症候群,脊髄損傷や脳血管障害,糖尿病,Parkinson病などがあげられる.本症例はCTで椎弓癒合不全,脊髄脂肪腫が認められ,脊髄係留症候群が疑われたことからMRI(非呈示)による精査が追加された.MRIで脊髄が脂肪腫により牽引されていることが確認され,これによる神経因性膀胱と考えられた.

脊髄係留症候群とは脊髄が何らかの原因により係留・牽引された結果,神経に障害をきたした状態をいう.通常は脊椎癒合不全の患者にみられ,脂肪腫や線維性組織との癒着から脊髄や神経根が引き伸ばされた結果,主として上位運動ニューロンの障害が生じる.具体的な障害としては下肢の運動機能・感覚障害,膀胱直腸障害などの頻度が高い.

膀胱では,排尿筋過反射や排尿筋外尿道括約筋協調不全(detrusor-sphincter dyssynergia:排尿筋の収縮時に同時に尿道括約筋が収縮をきたすことにより尿道抵抗が増大する現象)から膀胱内圧の亢進をきたし,膀胱に肉柱形成,クリスマスツリー様変形が生じる.症状が進行すると膀胱尿管逆流から両側水腎症,尿路感染症を合併する.

脊髄係留症候群は明らかな外表奇形を伴わないものも多く,潜在患者は多いものと考えられる.完成した神経障害を完治させることは困難であるが,早期発見から適切な管理を行い腎機能の保持をはかることが重要である.

図1 来院時腹部造影CT(排泄相)
図2 来院時CT urography

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<症例のポイント>

神経因性膀胱の所見をみたら背景疾患について注意深く観察しよう.

プロフィール

田村 謙太郎(Tamura Kentaro)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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