画像診断Q&A

レジデントノート 2013年11月号掲載
【解答・解説】尿路感染症です.腎門部に注目してください.

Answer

気腫性腎盂腎炎

  • A:左腎は腫大し,腎実質には斑状の低吸収域が散見される(図A).腎門部付近にて尿管周囲,尿管内にガス像を認める(図B).左腎周囲腔に液体貯留,脂肪織濃度の上昇を認める(図B).左腎盂腎杯,尿管は拡張し(図A),水腎症をきたしている.左尿管膀胱移行部に結石を認める(図C).左尿管結石による尿路閉塞に合併した気腫性腎盂腎炎と考えられた.

解説

図 来院時腹部造影CT

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気腫性腎盂腎炎は腎実質や腎周囲に特徴的なガス産生像を認める重篤な壊死性尿路感染症である.原因菌はEscherichia coliが最も多く頻度は56~72%,次にKlebsiellaが多く頻度は12~16%とされている1).約80%の症例が糖尿病,約40%の症例が尿路閉塞を認めており2),これらはリスクファクターとされている.組織内グルコース濃度の上昇と,グラム陰性通性嫌気性菌によるグルコースの発酵から二酸化炭素などのガスが産生されると考えられている3)

臨床症状として,発熱,側腹部・背部痛,嘔気,嘔吐などを認める.重症例では意識障害やショック状態を呈する.検査所見として,膿尿,細菌尿,白血球増加,CRP上昇などを認める.

画像所見は,腹部単純X線にて腎実質や腎周囲にガス像を認める.超音波検査では,腎腫大と散在性の高エコー域を認める.CTでは,腎腫大,周囲の炎症反応,腎実質内外のガス像を認め,病変の広がりも確認することができる.造影CTでは,腎実質の炎症を反映しさまざまな程度の低吸収域を認める.

WanらはCT所見と予後の関係から気腫性腎盂腎炎を次の2型に分類している.Type1は斑状にガスが貯留した腎実質の破壊像を呈し,Type2は腎およびその周囲の液体貯留,尿管内のガス,または限局するガス像を認める.Type1は予後が悪く,死亡率は69%,Type2の死亡率は18%とされている4)

治療は,まず抗菌薬の使用,血糖コントロール,補液を含めた全身管理を行う.抗菌薬はエンピリックな治療としてカルバペネム系や第3,4世代セフェム系抗菌薬で開始し,培養結果を踏まえ抗菌薬の変更を行う.Type1などの重症例,保存的治療で改善が得られない場合は,経皮的ドレナージや腎摘出術など外科的治療を早期より積極的に行う.その他,補助療法としてエンドトキシン吸着や血液透析を行う.

<症例のポイント>

気腫性腎盂腎炎は死亡率が高く,重篤な尿路感染症である.腎盂腎炎の所見に加えて,画像所見にてガス像を認めた場合は,気腫性腎盂腎炎を疑い,早期に治療を開始することが重要である.

文献

  1. 山口史朗 ほか:CTガイド下経皮的ドレナージにより軽快した気腫性腎盂腎炎の1例-本邦報告例の臨床的検討.泌尿器科紀要,51:447-450, 2005
  2. 堀野哲也,小野寺昭一:気腫性腎盂腎炎,黄色肉芽腫性腎盂腎炎.泌尿器外科,21:447-451, 2008
  3. 安田 満:気腫性腎盂腎炎.臨床泌尿器科,65:23-29, 2011
  4. Wan, Y. L., et al.:Acute gas-producing bacterial renal infection:correlation between imaging findings and clinical outcome. Radiology, 198:433-438, 1996

プロフィール

南 康大(Yasuhiro Minami)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
田村 謙太郎(Kentaro Tamura)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
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