画像診断Q&A

レジデントノート 2013年11月号掲載
【解答・解説】右季肋部痛で受診した90歳代男性

ある1年目の研修医の診断

右肺野にすりガラス影を認め,右上肺野に斑状の結節があります.胸壁に接する部分にも異常影があります.感染症でしょうか?

Answer

悪性リンパ腫の肺病変(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)

  • A1:解説に詳細記す.
  • A2:悪性リンパ腫,原発性または転移性肺癌(癌性リンパ管症と肺内転移を伴う),肺結核症など

解説

胸部単純X線写真では右上肺野から下肺野上部までに広範なすりガラス影を認め,その内部の右上肺野に縦隔から胸壁に達する不整形の浸潤影(図1)を認める.その他に,右下肺野外側に明瞭な辺縁をもつ内側に凸な陰影〔 extrapleural sign(胸膜外徴候) 図1〕や右下肺野に結節影を認める(図1).また,気管分岐部は開大し(図1),右肺門部陰影は左側より増強している(図1).縦隔に石灰化リンパ節を認める(図1).

胸部単純X線写真での鑑別診断は,腫瘍性病変,肺結核症をあげた.画像所見のすりガラス影の広がりに反し,咳や痰などの呼吸器症状がなく,肺結核症は考えにくいが,石灰化リンパ節を認めることから,鑑別にあげた.

胸部CTでは,右上葉に縦隔から胸壁に達する長大な不整形の腫瘤を認める(図2A).腫瘤辺縁は比較的明瞭な部分,すりガラス影に移行する部分,また,部分的に散布性小結節影が随伴する部分(図2A)など多彩である.同じく右上葉ではすりガラス影,小葉間間質の肥厚と小葉内網状影を呈する部分(図2B)を認める.また,図に示さないが,縦隔から右肺門部にリンパ節腫大,右下肺野には胸壁に浸潤する腫瘍,また,肺内に結節影を複数認めた.CTの画像所見は胸部単純X線写真よりさらに多彩であった.

このような多彩な画像所見を呈する場合,悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患を鑑別にあげたい1).原発性肺癌や転移性肺癌を鑑別とした場合は,すりガラス影・小葉内網状影について部分的な癌性リンパ管症,出血の吸引,肺感染症など,続発性の病変の併発を考えなければ説明が難しい.CTでの石灰化リンパ節と散布性陰影から肺結核症も鑑別にあがるが,その他の病変は肺結核症では説明できない.

本例は気管支鏡検査を行い生検により,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の病理診断を得た.全身の検索で腹腔内リンパ節腫大を認め,肺病変は続発性と診断した.この後,治療により肺病変のほとんどは消退した.

図1 来院時胸部単純X 線正面像
図2 来院時胸部CT 肺野条件

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文献

  1. 楊川哲代 ほか:2. 肺のリンパ腫 1)MALTリンパ腫, 転移性リンパ腫.「特集:胸郭内リンパ腫とその周辺疾患の画像診断」,日本胸部臨床,70:546-551,2011

プロフィール

大河内 康実(Yasumi Okochi)
社会保険中央総合病院 呼吸器内科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
社会保険中央総合病院 呼吸器内科
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