画像診断Q&A

レジデントノート 2014年1月号掲載
【解答・解説】特徴的な部位に生じる疾患です.

Answer

尿膜管膿瘍

  • A:臍部から膀胱頂部にかけて結合組織を認め,尿膜管遺残の所見である(図1A 〜C図2).膀胱頂部(図1D図2)に連続している.尿膜管の頭側約8 cm にわたり肥厚し造影効果を伴い,炎症が疑われる.臍直下から尿膜管に沿って膿瘍形成を認める(図1B図2).

解説

尿膜管は腹膜と腹壁筋膜の間を膀胱頂部から臍方向に走る上皮性構造物である.通常胎生10週頃までには退化して閉鎖し索状物となり,正中臍索となる.この退化が起こらず,生後も尿膜管の内腔が開存している場合を尿膜管遺残という.尿膜管遺残は胎児で約50 %,成人で2%に認められる1)

全長にわたり開存しているものを尿膜管瘻,臍部に開存したものを尿膜管洞,膀胱側に開存したものを尿膜管憩室,経路の中間に開存し,交通のないものを尿膜管嚢腫という.尿膜管遺残のうち,尿膜管瘻が15 %,尿膜管洞が49 %,尿膜管嚢腫が36 %という報告もある2)

尿膜管遺残がある場合,感染を合併し膿瘍を形成することがある.感染経路については,膀胱からの上行性感染,臍からの感染,いずれとも交通のないものは血行性感染や術後感染などが考えられる.好発年齢は20 歳代で,症状は臍部からの排膿,腹部腫瘤,腹痛,発熱などを認める.感染が悪化すると腹膜炎をきたす場合もある.

診断には,CT,MRI,腹部エコーなどが用いられ,臍から腹直筋背側を通って膀胱頂部へ至る経路の間に,膿瘍を認める.造影CT では,膿瘍は周囲を高吸収の被膜に囲まれた液体貯留として認められる.尿膜管癌が鑑別にあがるが,癌に膿瘍を合併することもあり,診断に苦慮する場合がある.

治療は,抗菌薬の投与やドレナージによって保存的に改善する場合もあるが,再発例が多いとされている3).根治には外科的治療が基本である.

図1 来院時腹部造影CT
図2 来院時腹部造影CT(矢状面)

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<症例のポイント>

尿膜管膿瘍は頻度は低いが,しばしば炎症をくり返し,治療に難渋することがある.適切に診断をし,根治的治療に導くことが重要である.

文献

  1. 桶川隆嗣,東原英二:尿膜管膿瘍.泌尿器外科,21:471-476, 2008
  2. Cliento, B. G., et al.:Urachal anomalies:defining the best diagnostic modality. Urology, 52:120-122, 1998
  3. 増栄成泰,長谷川義和:難治性尿膜管膿瘍に対して尿膜管全摘除術および臍形成術を施行した1例.泌尿器外科,21:1459-1462, 2008

プロフィール

南 康大(Yasuhiro Minami)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
田村 謙太郎(Kentaro Tamura)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶応義塾大学医学部 放射線診断科
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