画像診断Q&A

レジデントノート 2014年6月号掲載
【解答・解説】xxxxxxxxxx

Answer

気腫合併肺線維症に併発した右肺門部肺癌の1例

  • A1:右肺門部に辺縁整の腫瘤状陰影を認める(図1).両側下肺野に網状陰影があり上肺野はX線透過性の亢進がみられる.
  • A2:右肺門部肺癌.気腫合併肺線維症.

解説

胸部X線写真読影は,「人のハい」読影法1)を用いて行う.まず気管→右主気管支→右中間気管支幹と右中間肺動脈をみて,次に左主気管支と左主肺動脈を確認する.本症例では,右中間肺動脈に重なって辺縁整,内部均一な直径3cm程度の腫瘤状陰影が認められる(図1).胸部造影CT像(図2A)で肺動脈に重なった腫瘤(図2A)が認められるが,肺動脈辺縁(図2A)が潰れていないので胸部正面X線写真でも肺動脈辺縁を追える(図1)ことが理解できる.なお,別のスライスでは対側縦隔内リンパ節まで腫大が認められた.気管支鏡では腫瘤は壁外であるために生検はできず,胸腔鏡下生検を行った.結果は,肺癌であった.免疫染色ではTTF-1(+),NCAM(+),chromogranin A(focal+),CK7(-),CD3(-),CD20(-)であり,神経内分泌腫瘍であることがわかった.神経内分泌腫瘍には,小細胞肺癌(small cell lung cancer:SCLC)と大細胞神経内分泌肺癌(large cell neuroendocrine carcinoma:LCNEC)があるが,本症例は前者と診断された.LCNECは小細胞肺癌同様に進行が速く予後の悪いものであるが,治療の多くは小細胞肺癌に準じて行われる.本症例は,経過中にProGRPが91.5 pg/mLと上昇し,CEAは3.6 ng/mLと低下した.初期のCEAの上昇の原因としては,合併している肺線維症や喫煙の影響が考えられる.

胸部CT像(図2B)では,中葉の気腫(図2B),下葉の縮小と線維性変化(図2B)が認められる.すなわち気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema:CPFE)であることがわかる.CPFEでは肺癌と肺高血圧症が合併しやすいことが知られており,本症例では肺癌の合併が認められた.

本症例は対側縦隔にも進展が認められ,cT2aN3M0 StageⅢB の小細胞肺癌であり,CDDP(シスプラチン)+CPT-11(イリノテカン)の化学療法を考えたが,腎機能障害があるためにCDDPは使いづらく,また肺線維症があるためにCPT-11 は禁忌である.このためにCBDCA(カルボプラチン)+VP-16(エトポシド)の併用化学療法を行い奏効を得ている.

図1
図2
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文献

  1. 『見逃しなく読める! 胸部X線画像診断Q&A「人の肺」読影法と症例演習』(山口哲生/著),羊土社,2010

プロフィール

山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR東京総合病院呼吸器内科
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