画像診断Q&A

レジデントノート 2015年4月号掲載
【解答・解説】腹痛で受診した50歳代男性.有名な疾患ですが,典型例は珍しいです.

Answer

Meckel 憩室炎

  • A1:単純CT(図1)では腹部ほぼ正中に小腸()から突出する盲端な構造()を認める.内部に星芒状の高吸収域()を認める.造影CT冠状断(図2)では,小腸から突出する盲端な構造()がわかりやすい.糞石を伴った典型的なMeckel憩室炎の所見である.
  • A2:CTなどでMeckel憩室を疑った場合,99mTcO4を利用した異所性胃粘膜シンチグラフィ(図3)が診断に有用である.

解説

Meckel憩室は,胎生期に存在する卵黄管近位部の遺残,閉鎖不全によって形成される腸管の袋状の突出である.成人では回盲弁から60~100 cm口側の回腸の,腸間膜付着部対側に認められる.腸管壁全層を備えた真性憩室である.頻度は2~4%と消化管奇形のなかで最も高く,主に2歳以下の小児で発見されることが多い.Meckel憩室の特徴を表すものとしてrule of twos〔2の法則:頻度2%,男女比2:1,2歳までに症状化,回盲弁より2フィート(60 cm)〕がある1,2)

Meckel憩室の合併症としては出血,腸重積,腸閉塞,憩室炎,穿孔,腫瘍などがあり,小児では出血が多い.Meckel憩室に合併する異所性胃粘膜や膵組織からの分泌液により,潰瘍形成,出血,穿孔が発生すると言われている.Meckel憩室炎の画像検査では,ほかの下腹部痛をきたす疾患(虫垂炎,憩室炎,尿管結石など)との鑑別のため,CTや超音波が施行されることが多いと思われる.CTでは回腸から突出する盲端な構造を見つけることが重要で,冠状断や矢状断などMPR(multiplanar reconstruction)像を作成するとわかりやすい.今回の症例は診断が比較的容易であったが,実際はMeckel憩室の診断は難しいことが多い.

異所性胃粘膜シンチグラフィは99mTcO4が胃酸のClと同様の動態を示すことを利用してMeckel憩室の異所性胃粘膜を描出する核医学検査であり,Meckel憩室の診断に有用である3).小児では感度80~90%,特異度95%,陽性的中率90%とよい成績を示すが,成人では感度60%,特異度9%,陽性的中率46%と劣る傾向がある4,5).これは,明瞭な集積を示すような大きい異所性胃粘膜は,早々に出血を生じて,若年時に発見されるためと考えられている.偽陽性の原因としては,他部位の異所性胃粘膜への集積,潰瘍,炎症,血管奇形などがあり,偽陰性の原因としては異所性胃粘膜が小さい場合,高度の出血などがある1,2)

“Meckel’s diverticulum is frequently suspected, often looked for and seldom found.”と有名なMayo clinicの創始者に言わせるほど診断は難しいが,CTなどでMeckel憩室を疑った場合は異所性胃粘膜シンチグラフィが診断に有用である.

図1 来院時腹部単純CT
図2 来院時腹部造影CT
図3 異所性胃粘膜シンチグラフィ

クリックして拡大

文献

  1. Sagar J, et al:Meckelʼs diverticulum:a systematic review. J R Soc Med, 99:501-505, 2006
  2. Uppal K, et al:Meckelʼs diverticulum:a review. Clin Anat, 24:416-422, 2011
  3. 「核医学ノート(第5版)」(久保敦司,木下文雄/著),金原出版,2009
  4. Kong MS, et al:Technetium-99m pertechnetate scan for ectopic gastric mucosa in children with gastrointestinal bleeding. J Formos Med Assoc, 92:717–720, 1993
  5. Lin S, et al:Gastrointestinal bleeding in adult patients with Meckel’s diverticulum:the role of technetium 99m pertechnetate scan. South Med J, 95:1338–1341, 2002

プロフィール

松本 俊亮(Shunsuke Matsumoto)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
西村 亜希子(Akiko Nishimura)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
サイドメニュー開く

TOP