画像診断Q&A

レジデントノート 2016年2月号掲載
【解答・解説】嚥下時違和感の原因は?

Answer

茎状突起過長症(Eagle症候群)

  • A1:過長した左茎状突起(本症例では6.8cm,図1〜4[1][2][3][4]).
  • A2:茎状突起先端の触知(触知による症状の誘発).

本症例では身体所見と画像所見から茎状突起過長症と診断され,左茎状突起切除術が行われた.

解説

異常所見を見つけるうえで重要なのは,正常解剖を理解するのはもちろんのこと,左右差を見つけることである.この症例では,中咽頭左側に高吸収の構造物を認め,明らかな左右差があることがわかる(図12).スライスや角度を変えてみると,側頭骨から連続する茎状突起であり(図3),舌骨直上まで延長している所見が見てとれる(図2).茎状突起過長症の所見である.

茎状突起過長症とは茎状突起が正常より長くなることにより,顔面痛,頸部痛,咽頭の違和感,耳鳴などさまざまな症状をきたす症候群である.Eagle WWらによって最初に報告されたため,Eagle症候群ともいわれる1).詳しい原因は不明だが,先天的なものや茎突舌骨靱帯の石灰化,同靱帯付着部での骨増生によると考えられている2).診断は茎状突起先端部の触知により症状が誘発されることでなされる.皮膚を介しての触知が困難な場合は,扁桃窩を介して触れることもできる.

茎状突起の長さは,正常では2.5cm未満といわれており,3cmを超えると過長茎状突起と考えられる3).診断には単純X線やCTが有用であるが,過長茎状突起を認めても症状を呈さないことも多い.茎状突起過長症は,あくまでも臨床症状を有することが前提であることに留意しなければならない.しかし,症状がある場合には治療につなげるためにも画像で指摘する必要がある.そのためにも,画像所見ときたしうる臨床所見(症状や身体所見など)を把握しておくことが重要である.

図1 来院時頸部単純CT
図2 来院時頸部単純CT(図1の5mm尾側)
図3 来院時頸部単純CT(左斜め前からの矢状断)
図4 再構成した3D-CT 画像

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文献

  1. Eagle WW: Elongated styloid processes:report of two cases. Arch Otolaryngol, 25:584-587, 1937
  2. Balbuena L Jr, et al:Eagle's syndrome(elongated styloid process).South Med J, 90:331-334, 1997
  3. Keur JJ, et al:The clinical significance of the elongated styloid process. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 61:399-404, 1986

プロフィール

成松 英俊(Hidetoshi Narimatsu)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
松本 俊亮(Shunsuke Matsumoto)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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