画像診断Q&A

レジデントノート 2016年11月号掲載
【解答・解説】下痢,脱力感で来院した60歳代男性

Answer

腸結核

  • A1:腹部CTで回盲部に壁肥厚(図1)を認める.注意して見ると,回腸末端部の腹側に瘻孔(図12)が認められ,air densityを含む膿瘍腔(図12)を形成している.腸管穿孔の所見である.回結腸動脈領域には中心部が低吸収となる壊死性リンパ節(図3)が認められる.胸部CT(図4)にて両肺に小葉中心性結節,分岐線状影(tree-in-bud pattern,図4)がみられ,活動性の肺結核が疑われる所見である.
    喀痰からはガフキー4号が検出され,喀痰・便培養より結核菌が検出された.回盲部の壁肥厚,瘻孔形成は,続発性腸結核によるものと考えられた.

解説

腸結核は結核菌の感染による腸管の炎症である.腸管に初感染巣として生じた原発性(一次性)腸結核と肺病巣に続発する続発性(二次性)腸結核とに分けられる.後者は感染性喀痰の嚥下による管腔性感染が大多数を占め,その他血行性,リンパ行性,隣接臓器からの直接感染などが考えられている1).罹患部位は回盲部,右側結腸,小腸に多い2)

症状としては腹痛(85%),体重減少(60%),発熱(35〜50%),下痢(20%)などがある.ほとんどの症例で腹部の圧痛があり,腹部腫瘤が25〜50%で触れる.合併症は腸閉塞が最も多く,腸結核の20%に生じる.穿孔,瘻孔形成は5%にみられる2)

腸管粘膜に侵入した結核菌はリンパ濾胞内に結核結節をつくり,この結節が壊死を起こして潰瘍を形成する.次いで,隣接する小潰瘍が融合して,腸管軸に直角あるいは斜めに進展し,輪状もしくは帯状の潰瘍を形成する.潰瘍はリンパ濾胞が発達する腸間膜付着部対側に優位に認められるのが特徴とされ,腸間膜付着部側に潰瘍がみられるCrohn病とは対照的である.炎症は粘膜下層から進行して筋層に及ぶが,一方では治癒機転もさかんに起こり,非活動期では瘢痕形成,輪状狭窄などがみられる.潰瘍治癒の線維化時に腸管狭窄をきたすことが多い.

CTでは回盲弁や腸管壁の非対称性肥厚が限局性もしくは非連続性に認められ,周囲脂肪織濃度上昇を伴う3).同時に,回盲部を中心とした多数のリンパ節腫大が認められるが,乾酪壊死を反映して中心部が低吸収となる腫大リンパ節は結核に特徴的とされる.

確定診断には便の結核菌培養や病理組織診断による乾酪性肉芽腫および菌体の証明が必要である.

肺結核があり,回盲部を主体とする壁肥厚や壊死性リンパ節を認める場合は腸結核を念頭に置く必要がある.

図1
図2
図3
図4
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文献

  1. 古川 顕:肉芽腫を形成する腸疾患 -Crohn病,結核を中心に-.臨床画像, 28:1066-1074, 2012
  2. 「急性腹症のCT」(堀川義文,他/編),へるす出版, 1998
  3. 「わかる!役立つ!消化管の画像診断」(山下康行/編・著),学研メディカル秀潤社, 2015

プロフィール

荒井絵美理(Emiri Arai)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
松本俊亮(Shunsuke Matsumoto)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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