OHSSは排卵誘発剤の使用で生じる医原性の黄体化過剰反応の一種である.hMG製剤投与により高FSH血症,内因性高LH血症となったところにhCG製剤を投与することによって発育卵胞の黄体化が発生する.黄体細胞より血管透過性亢進物質が産生され,胸腹水貯留,血管濃縮,腎障害,浮腫を引き起こし,重症例では死亡することもある1).不妊治療中の約半数で認められるとされるが,近年ではホルモン剤投与法の工夫により入院加療が必要となる重症例は0.5〜5%と減少している2).
画像所見では両側卵巣の腫大(図2→,3→)を認め,多房性嚢胞構造により間質が車輻状構造(spoke-wheel appearance)を呈する2).また,嚢胞内への出血(参考症例 図4)や,卵巣腫大による捻転をきたすこともある.またOHSSを疑った場合は脱水に起因するPE/DVTなど血栓症の合併がないか確認する必要がある.
両側卵巣が多房性嚢胞を伴って腫大し,胸腹水貯留を認めた場合は病歴を確認し,不妊治療歴を確認することで診断へとつながる.