画像診断Q&A

レジデントノート 2017年11月号掲載
【解答・解説】発熱,会陰部痛で来院した90歳代男性

Answer

Fournier壊疽

  • A1 :陰嚢から腹壁皮下に連続して多量のairを認める(図12).陰嚢にはニボーを有する液体貯留を認める(図2).

解説

Fournier壊疽は若年男性の外性器に発症し,急激に進行する原因不明の特発性生殖器壊疽として1883年にFournierによって報告されたが,現在では年齢,性別を問わず,会陰部の壊死性筋膜炎とされている.50〜60歳代の男性に多く,男性に多い理由としては陰嚢の皮下組織が層状構造を呈し血流に乏しく,細菌の増殖が容易であるためと考えられている.糖尿病患者に多く,アルコール依存,免疫能低下,高齢,長期入院,栄養不良,悪性疾患,ステロイド使用などが基礎疾患として重要である.感染経路としては,外陰部周囲の外傷,尿路感染,肛門周囲や後腹膜腔などからの進展がある.起因菌は,好気性菌ではEscherichiacoliStreptococcus,通性嫌気性菌ではBacteroidesPeptostreptococcusなどがあるが,これらの混合感染が最も多い.進行が早く,鼠径部や大腿,腹壁,後腹膜へ炎症が広がる.死亡率が非常に高く(15〜50%),早期の広域スペクトル抗菌薬投与と外科的処置(デブリードマン)が重要である.CTでは,陰嚢や会陰部の軟部組織の著明な腫脹や筋膜の肥厚,ガス産生菌による気腫(特徴的だが,なくても否定はできない),炎症波及による液体貯留,瘻孔などがみられる.

壊死性筋膜炎:病変の主座を浅在筋膜とし,急速に拡大する.周囲組織の微小血管血栓閉塞による壊死を引き起こすことから壊死性筋膜炎というが,実際には,病変は皮膚から筋肉までの軟部組織いずれにも起こり,壊死性軟部組織感染症(necrotizing soft-tissue infection:NSTI)の呼称が推奨されている.初期には蜂窩織炎(病変の主座は真皮から皮下脂肪組織)と画像および皮膚所見が類似するが,より深層で病変の急速な進行および壊死が生じており,蜂窩織炎として考えた場合でも,全身状態不良の所見があれば,壊死性筋膜炎を疑うようにすることが重要である.

図1
図2
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参考文献

  1. Levenson RB,et al:Fournier gangrene:role of imaging.RadioGraphics,28:519-528,2008
  2. 庵地孝嗣,他:フルニエ壊疽8症例の治療経験.泌尿器科紀要,55:545-549,2009
  3. 鬼塚幸治,他:Fournier壊疽の3例.日臨外会誌,71:3219-3222,2010

プロフィール

安藤嵩浩(Takahiro Ando)
日本医科大学付属病院 放射線科
関根鉄朗(Tetsuro Sekine)
日本医科大学付属病院 放射線科
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