画像診断Q&A

レジデントノート 2018年2月号掲載
【解答・解説】アルコール依存症の30歳代女性

Answer

Wernicke脳症

  • A1:視床内側,乳頭体に高信号域を認める(図1).橋背側(第4脳室周囲)に高信号域を認める(図2).
  • A2:Wernicke脳症.

解説

Wernicke脳症はビタミンB1の欠乏を背景とした急性期の神経障害である.アルコール依存症に発症することがよく知られているが,主病態はビタミンB1欠乏であるため胃摘後,妊娠悪阻を含む長期的嘔吐,化学療法,敗血症の患者でもみられる.体内貯蓄量上限と1日摂取量から概算すると,ビタミンB1欠乏は4〜6週間の摂食障害で発症するといえる.早期治療(ビタミンB1補充)が行われれば予後良好であるため,早期診断がきわめて重要となる.

ビタミンB1はTCA(クエン酸)回路の補因子であるため,欠乏すると代謝活性のさかんな部位からエネルギーが枯渇し,障害を受ける.視床下部・視床内側(図1)・中脳水道周囲(図3)・下丘・第4脳室周囲(図2)が特に脳内でも代謝活性がさかんであり,好発部位となる.上記部位に左右対称性に連続する病変がWernicke脳症の特徴的分布であり,そのまま画像診断のポイントといえる1)なお,ビタミンB1は細胞膜の浸透圧維持を担っているため,初期の主病態は細胞性浮腫性変化となる.また,診断に至るうえで,画像所見から,脳血管障害(脳底動脈穿通枝であるPercheron動脈の脳梗塞)やそのほかの脳症(アルコール依存症が背景にあれば肝性脳症・Marchiafava-Bignami病等)を除外することも重要である.

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図1
図2
図3
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参考文献

  1. Zuccoli G & Pipitone N:Neuroimaging findings in acute Wernicke’s encephalopathy:review of the literature. AJR Am J Roentgenol, 192:501-508, 2009

プロフィール

田中 泉(Izumi Tanaka)
日本医科大学付属病院 放射線科
関根鉄朗(Tetsuro Sekine)
日本医科大学付属病院 放射線科
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