画像診断Q&A

レジデントノート 2018年10月号掲載
【解答・解説】乾性咳嗽,全身倦怠感を主訴とした50歳代女性

Answer

浸潤性粘液産生性腺癌(IMA)の1例

  • A1 :胸部X線写真では両側の広範囲に末梢優位な浸潤影がみられる.皮下気腫も目立つ(図1).胸部CT写真でも末梢優位に浸潤影がみられる.皮下気腫,縦隔気腫もみられる(図2).

  • A2 :気管支鏡検査を行う.可能であれば経気管支肺生検を施行し,遺伝子変異の検査も行う.

  • A3 :化学療法.

解説

本症例は,市中肺炎にしては経過が2カ月と長期で発熱がなく,乾性咳嗽と全身倦怠感が主訴であった.他院での抗菌薬治療が無効であったことから,市中肺炎以外の病気を鑑別にあげる必要がある.


画像所見としては慢性の経過でびまん性浸潤影が進行した.慢性びまん性浸潤影の鑑別として結核,悪性リンパ腫,サルコイドーシス,リポイド肺炎,肺胞タンパク症,肺胞出血,浸潤性粘液産生性腺癌(invasive mucinous adenocarcinoma:IMA)などが考えられる1)

本症例では悪性腫瘍を第一に疑い,気管支鏡検査を施行した.経気管支肺生検で細胞質内に豊富な粘液を有する高円柱状の腫瘍細胞が確認され,IMAステージⅣ(T4N0M1a)と診断した.EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)遺伝子変異,ALK(anaplastic lymphoma kinase:未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子はみられなかった.


IMAは,2004年のWHO分類(第3版)では,細気管支肺胞上皮癌(bronchiolo-alveolar cell carcinoma:BAC)に分類されており,肺炎型の画像所見を呈する肺癌として広く知られていた.しかし,BACのなかにきわめて予後のよいものと悪いものとが混在していたために,これを区別する必要があった2).そのため,2011年のWHO分類(第4版)では,BACという呼び名をやめて,これまでの予後のよい限局性のBACを“lepidic pattern”,本症例のように肺炎型で予後の悪いものをIMA(pneumonic pattern)と命名した.


本症例は近医での加療を希望したため近医に転院し,ペメトレキセドによる化学療法を2コース施行した.IMAは一般的に化学療法が効きづらいタイプの肺癌であるとされており,本症例も化学療法は著効せず,転院10カ月後に永眠された.


図1
図2
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文献

  1. Trigaux JP, et al:Bronchioloalveolar carcinoma:computed tomography findings. Eur Respir J, 9:11-16, 1996

  2. Clayton F:Bronchioloalveolar carcinomas. Cell types, patterns of growth, and prognostic correlates. Cancer, 57:1555-1564, 1986

プロフィール

芳賀高浩(Takahiro Haga)
関東労災病院 精神科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
新宿海上ビル診療所
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