胸部単純X線写真(図1)では両側中下肺野優位にやや淡い浸潤影が広範囲にみられ,心陰影や横隔膜など既存の構造物のシルエットが不鮮明になっている.Hilar hazeを認める(図1→)ことから気管支血管束や小葉間隔壁といったいわゆる広義間質にも病変があることが示唆され,肺水腫や好酸球性肺炎が鑑別にあがる.右肋横隔膜角が不鮮明であり若干の胸水を伴う可能性がある.胸部CT画像(図2)でも非区域性の淡い浸潤影とともに気管支血管束や小葉間隔壁の肥厚が確認できた(図2▶▶).心拡大や身体所見で浮腫がないことから心不全は否定的であり,3週間前の喫煙開始エピソードと合わせて急性好酸球性肺炎(acute eosinophilic pneumonia:AEP)を第一に考えた.確定診断のために気管支鏡検査を施行し,右中葉で気管支肺胞洗浄(Bronchoalveolar lavage:BAL)を行った.気管支肺胞洗浄液(BALF)の有核細胞分画では好酸球が63%を占めていた.これらより喫煙開始に伴うAEPと診断し,プレドニゾロン0.75 mg/kg/日として60 mg/日で治療を開始した.6日後に撮像した胸部単純X線写真では多発浸潤影はほぼ消退していた(図3).プレドニゾロンを4週間程度かけて漸減終了した.
AEPでは上述したように画像上,胸水貯留に加えて間質性の浮腫や炎症を反映した所見を認めるので,本症例では胸部X線所見のみで肺水腫とともに鑑別として考えることができる.それに加えて,急性発症(通常喫煙開始7日以内)の呼吸症状と肺両側肺にびまん性浸潤影,BALFにおける好酸球25%以上という所見が,AEPでは特徴的とされており1),本症例ではこれらすべてを充たすので,好酸球性肺炎の診断を確かなものとしている.また,治療経過として,良好なステロイド反応性があり,急速に画像所見は改善したが,これもAEPとして典型的である1,2).そして,本例は喫煙開始直後というタイミングで発症しており,喫煙エピソードが急性好酸球性肺炎の誘因となりうることは,若年者においてしばしば報告されている3).