画像診断Q&A

レジデントノート 2026年7月号掲載
【解答・解説】消化管異物が疑われた80歳代男性

ある1年目の研修医の診断

腹部に異物があります.消化器内科にコンサルトします.

Answer

十二指腸内のOver-The-Scope Clip(OTSC)と上行結腸内の内視鏡クリップ

  • A1:Over-The-Scope Clip(OTSC)(図12)と内視鏡クリップ(図1
  • A2:内視鏡治療歴
  • A3:経過観察

解説

経口的に摂取された消化管異物は,① 誤飲,② 自殺企図・違法薬物の密輸でみられる意図的な異物摂取,③ 食餌性異物に大別される.大きい異物では閉塞,鋭利な異物では穿孔をきたすため,内視鏡あるいは外科手術による除去が治療であるが,異物の部位と形状を考慮して適応が決定される.

異物を誤飲したことを認識していない,あるいは意図的に異物を隠匿する場合には,問診で異物誤飲を聴取できない.このような状況では,画像検査が異物を指摘する糸口になることが少なくない.そのため,代表的な異物については画像でどのように見えるのか知っておく必要がある.画像で指摘できる代表的な消化管異物として,錠剤やカプセル錠を梱包するpress through package(PTP)(図5)や義歯(図6)が有名である.

金属でつくられた医療デバイスが異物と紛らわしい場合があるが,形態的特徴を知っていれば鑑別は容易である.今回提示したOver-The-Scope Clip(OTSC)は,形状記憶のニッケルチタン合金で作成された内視鏡デバイスで,2018年12月20日に承認された.アプリケーターキャップから発射されたクリップがもとの形状に戻り,消化管壁に噛みつくように壁を縫縮することで,止血や壁欠損部の修復が得られる.その形状がクマの爪のようであることから“bear claw”と形容される1,2).適応疾患は難治性消化管出血,消化管穿孔,消化管瘻・縫合不全などである.本症例では詳細な問診にて十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療と,大腸憩室出血の内視鏡止血術の既往が判明した.それぞれ,壁欠損部の縫縮と止血のために使用されたと考えられる.自然に脱落し,便とともに排泄されるが,長期に残留することもある.なお,OTSCを使用された患者に対してMRI検査を行うことは可能であるが,局所的に金属アーチファクトが発生するため,診断に影響しないか検討を要する.

図1
図2
図5
図6
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引用文献

  1. Mathew RP, et al:Abdominal and pelvic radiographs of medical devices and materials-Part 1:gastrointestinal and vascular devices and materials. Diagn Interv Radiol, 26:101-110, 2020(PMID:32071024)
  2. Mathew RP, et al:Abdominal and pelvic radiographs of medical devices and materials- part 2:neurologic and genitourinary devices and materials. Diagn Interv Radiol, 26:160-167, 2020(PMID:32209503)

プロフィール

井上明星(Akitoshi Inoue)
滋賀医科大学 放射線科
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