画像診断Q&A

レジデントノート 2026年11月号掲載
【解答・解説】健診で胸部異常陰影を指摘された外国籍20歳代男性

ある1年目の研修医の診断

右上肺野の浸潤影から細菌性肺炎を疑い,胸部CT検査を施行します.

Answer

活動性肺結核

  • A1:右上肺野にコンソリデーション(図1◯),その周囲に粒状影が点在している(図1→).
  • A2:東南アジアでの生育歴と上肺野優位のコンソリデーション・粒状影から,活動性肺結核を第一に疑う.家族内発症や結核患者との接触歴,結核の検査・治療歴を聴取し,喀痰抗酸菌塗抹・培養検査を3回提出し排菌の有無をすみやかに評価する.併せて喀痰結核菌核酸増幅検査を行い,迅速診断を試みる.

解説

若年で無症状であっても,胸部異常陰影をみた際に結核を鑑別から外してはならない.本症例の胸部単純X線写真では右上肺野にコンソリデーションを認めるが(図1◯),注意深く観察すると周囲に粒状影が点在している(図1→).胸部単純CTでは右上葉に空洞形成を伴う結節影を認め(図2◯),その周囲には粒状影が散布巣として点在しており(図2),tree-in-budの所見もみられることから細気管支領域の気道散布性病変が示唆された.

日本は2021年以降,結核低蔓延国となった一方,東南アジアには依然として結核罹患率の高い地域が多く,日本でも労働等で入国した若年の外国生まれの患者の割合が増加している1).出生地・生育地,居住歴,家族歴,接触歴の聴取は重要であるが,疫学背景や画像所見のみで結核と診断してはならない.次に行うべきことは,喀痰を3回提出し,抗酸菌塗抹・培養および核酸増幅検査を行うことである.

本症例では3回中1回で抗酸菌塗抹1+,結核菌PCR陽性となり,活動性肺結核と診断した.家族歴および明らかな接触歴はなかった.排菌が確認されたため保健所と連携して感染症法に基づく勧告入院対応を行った.入院後,イソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,ピラジナミドによる標準4剤治療を開始した.なお,喀痰塗抹が3回陰性でも結核は否定できず,培養結果や臨床像に応じて追加検査を検討する.結核を否定できない肺炎にニューキノロンを単剤投与すると,診断の遅れや薬剤耐性化を招くおそれがある.上肺野のコンソリデーションに粒状影を伴うときは,症状の有無にかかわらず結核を想起し,まず喀痰抗酸菌塗抹検査をくり返すことが肝要である.

図1
図2
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引用文献

  1. 厚生労働省:感染症情報 結核.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html(2026年8月閲覧)

プロフィール

吉田 薫(Yuki Yoshida)
国立国際医療センター 呼吸器内科
西村直樹(Naoki Nishimura)
国立国際医療センター 呼吸器内科
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