[巻頭インタビュー]あの先生に会いたい!vol.1
道をそれていった先にEBMとプライマリ・ケアがあった

  • [SHARE]

本コーナーでは,さまざまなフィールドでご活躍中の先生に,医師として歩んでこられた道のりや,現在,そして将来のこと,さらに私生活とのバランスの取り方などについて語っていただきます.今回は東京北社会保険病院臨床研修センターの名郷直樹先生にご登場いただき,聖路加国際病院内科専修医(3年目)の小林大輝先生にインタビュアーを務めていただきました.

その場の1分,その日の5分

名郷先生

名郷直樹

東京北社会保険病院臨床研修センター

小林先生(以下敬称略):こうしたら,さらにEBMを学べるという,お勧めの学習方法はありますか.

名郷先生(以下敬称略):研修医には「その場の1分,その日の5分」と言っています.「とにかく勉強道具を身につけておいて,わからなかったらその場で1分勉強しなさい,1分で駄目だったら,諦めればいいよ」と.「1分で少しでもとっかかりができたら3分に伸ばしたり5分に伸ばしたりしなさい」と.そこで「1分でうまくいかなくても,その日が終わって,これから帰ろうと思ったときに,1日の疑問をちょっと振り返って5分勉強してから帰れ」と.「それで5分やって,何か少し面白くなってきたら10分,15分やってから帰れ」と言っていますね.


やはり研修医は死ぬ気で働いた方がいい

名郷先生

小林:スーパーローテーションの世代になってから,どこの病院に行くかという選択肢の幅がかなり広がったと思います.そのなかで,プライマリ・ケア医に限っていえば,先生が望まれるようなプライマリ・ケア医になれるコースとしてどのようなコースがお勧めですか.

名郷:人手が足りないとこに行くといいのではないかな.困っているところにね.

小林:自分が何かできる機会が多いということですか.

名郷:というより,むしろ,お役に立ちやすいところという感じがするけどね.そういうところではレジデントの役割が大きいから,いい研修ができるということだね.むしろ副次的にだけど,役に立てるということだと思うな.


小林先生

インタビュアー:小林大輝

聖路加国際病院内科専修医

小林:先生は1度大学に戻られましたけれど,それに関してはどうでしたか.

名郷:それはね,別に,大学でなくてもいいのだけど時間があったということがとても大事だった.私が,最初に自治医大に戻ったとき,当時の講師の奥野正孝先生(現 鳥羽市立神島診療所)が,最初,何を言ったかというとね「1カ月は何もするな」ということで,変なこと言う人だなと思って,でも,私も別にやりたいこともあまりないからさ,1カ月ということはなかったけど,2週間くらいは本当に何もしなかったよね.でもね,それは,とても重要だった.あのまま,そういう時期を経ずして何かを始めていたら,また空回りして駄目だったような気がするな.

小林:そこで休息ができて,かつ次に向かう意欲が出てきたということですね.今のレジデントはかなり働きづめだと思うんです.だから先生のお話を聞いてると,少し休む期間も必要なのだなと思います.

名郷:ただ,休むのは,集中して仕事した後がいいと思う.やはり研修医は死ぬ気で働いた方がいいと思うよ.集中的に打ち込んだ後,少し休めて,なおかつ臨床を少し離れて,研究や教育とかに集中できる時間があるととてもいいと思うな.


このほかに2009年2月号本誌では,【名郷先生の学生時代~研修生活】【プライマリ・ケアの始まり】【EBMとの出会い】【名郷先生ご自身の夢】【初期研修医へのメッセージ】を収録!名郷先生の人物像・医師像に迫っていきます!つづきは本誌で!
また,来月からは,本誌に収まりきらなかった内容をホームページ限定で紹介していきます.ご期待ください!

Profile

名郷先生
名郷直樹(Naoki Nago)
東京北社会保険病院臨床研修センター
愛知県の作手村診療所に計12年間勤務した後,へき地医療専門医育成を目標に地域医療振興協会の研修病院で教育を中心とした仕事をしている.

小林先生
小林大輝(Daiki Kobayashi)
聖路加国際病院内科専修医
一見『お堅い先生』かと思いきや,EBM,思想,笑い,どれをとっても超一流を感じました.未収録部分はHPで必見!!

Next