「“パニック値”の連絡があったら,すぐに対応しよう!」|臨床検査専門医がコッソリ教える… 検査のTips!

“パニック値”の連絡があったら,すぐに対応しよう!

増田亜希子

研修医 臨くん

検査室から「ヘモグロビンが4.5 g/dLと低値です.パニック値です」と電話が来たので,すぐに対応しました.先生,“パニック値”って何ですか?
“パニック値”は,すぐに対応しなければ患者に危険な状況を招く異常値のことだよ.担当医に迅速・確実に連絡する必要があるんだ.だから,検査室から臨くんに電話があったんだね.連絡があったら,迅速に対応しよう! 対応内容は電子カルテに記載して,他職種のスタッフとも情報を共有するのがベストだよ.

けんさん先生

解 説

パニック値の定義

パニック値は,1972年にLundbergにより提唱された概念だよ.“生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値”であり,直ちに治療を開始すれば救命可能だけど,その把握は臨床的な診察だけでは困難であり,検査によってのみ可能とされているんだ1).日本臨床検査医学会の『臨床検査「パニック値」運用に関する提言書』では,“基準範囲から極端に逸脱し,放置されると重大な疾病もしくは病態の存在が見逃され,患者の予後に著しい悪影響を与えるため,担当医への迅速かつ確実な報告が必要となる検査値”と定義されているよ2)

続きを読むには