「赤沈の亢進した検体での注意点は?」|臨床検査専門医がコッソリ教える… 検査のTips!

赤沈の亢進した検体での注意点は?

常川勝彦

研修医 臨くん

先生,感染症ではない患者さんに対して,指導医から赤血球沈降速度(赤沈)の測定を提案されました.赤沈が亢進する原因として,ほかにどのような疾患がありますか? また,赤沈が亢進した患者さんの検体を扱うときにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?
臨くん,炎症マーカーのひとつである赤沈の亢進は,いろいろな疾患でみられるんだよ.検体の取り扱いでも注意すべきことがあるのだけれど,今回は赤沈の原理からこのことを考えてみよう!

けんさん先生

解 説

赤沈とは?

赤血球沈降速度(略称は赤沈やESR:erythrocyte sedimentation rate)は,古くから用いられている炎症マーカーで,1920年にWestergrenにより測定方法が確立されたんだ.Westergren法による赤沈の原理は図1のとおり.抗凝固薬を加えた血液を赤沈管に入れると,直後は赤血球が凝集することなく均一な状況を保つのだけれど,時間経過とともに赤血球の凝集が進み,徐々に沈降するんだ.1時間経過後の血漿層の高さが赤沈の測定値となるよ1)

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