「胸痛は心臓や肺疾患とは限らない!」|臨床検査専門医がコッソリ教える… 検査のTips!

胸痛は心臓や肺疾患とは限らない!

木村 聡

研修医 臨くん

先日から胸痛を訴える40歳代男性患者を受け持ちになりました.症状から狭心症や心筋梗塞を想定,心電図やCK-MBを検査してみたのですが,何ら異常は認めずでした.指導医に相談すると “血液検査に手がかりがあるよ”と言われたのですが….
データを見てみると,総蛋白(TP)が12.1 g/dLと高値なのに,アルブミンは低値だね.となると,どんな蛋白が増えているのかな? ヒントは“アルブミンの次に多い血清蛋白”だよ!

けんさん先生

解 説

に入院時の血液・尿検査のデータを示します.

血算では,軽度の貧血,それもMCVが正常な正球性貧血を認めます.白血球分画には特に異常はみられません.次に生化学を読んでいくと,総蛋白の増加,アルブミンの減少が特徴的です.尿酸はかなり上がっていますが,習慣性飲酒者にみられるγ-GTや中性脂肪,MCVの増加はみられません.総コレステロールやLDL-Cは低下,空腹時血糖は正常.不摂生による生活習慣病ではなさそうですね.

異常値を探してみると,総蛋白が12.1 g/dL,カルシウムが13.0 mg/dLと異常高値であることがわかり,内分泌疾患や骨病変を疑わせます.CRPも1.55 mg/dLと軽度上昇しており,何らかの炎症性変化を伴っていることが考えられます.尿検査では蛋白3+,潜血2+,多数の硝子円柱,顆粒円柱が認められました.これらからは腎障害が疑われますが…原因となる病態は一体何でしょうか?

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