「「陰性,陽性」表示の落とし穴…あなたはご存知!?」|臨床検査専門医がコッソリ教える… 検査のTips!

「陰性,陽性」表示の落とし穴…あなたはご存知!?

土屋逹行

研修医 臨くん

先生,先日大腸がん疑いの患者さんに便潜血反応でのスクリーニング検査を行ったのですが…便潜血「陰性」にもかかわらず,後日の大腸内視鏡検査で大腸がんが発見されたんですよ.便潜血の検査はスクリーニングとしてあまり役立たない…と考えた方がよいのでしょうか?
便潜血反応は大腸がんのスクリーニング検査として大腸内視鏡検査と組み合わせることで大腸がんでの死亡率を減少させることがわかっているよ.ところで,便潜血の「陰性」「陽性」を検査でどのように判定しているのか…臨くんは知っているかい? そこには落とし穴があるんだよ.

けんさん先生

解 説

便潜血反応検査の変遷

一昔前の便潜血反応はベンチジン法,グアヤック法という化学法を利用していたんだ.化学法は「陰性」か「陽性」で表示される定性検査だね.ベンチジン法は非常に検出感度の高い方法なのだけれども動物の血液にも反応してしまうため,検査前数日は肉類などを除いた食事(潜血食)をする必要があったのがデメリットだったんだよね.なので,現在はヒトヘモグロビンに対する抗体を使って免疫学的に検出する方法に変更されているんだ.だから,現在は潜血食をとらなくても感度よく便潜血を検出することができるのだけれど,ヘモグロビンが消化されてしまうと検出できないため,上部消化管出血では陰性になってしまうことがある.また,ポリープを形成するがんでの陽性率は高く,陥凹型大腸がんにおける陽性率は低いことがわかっているよ.そのため,便潜血反応が陰性でも大腸がんが発見されることがある.そして,便が正しく採取されていないときには当然検出できないことが考えられるよね.

続きを読むには