総合診療はおもしろい!

ウィメンズ・ヘルスを学び,そして伝える
中山明子(大津ファミリークリニック・音羽病院 家庭医療科)

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皆さんはウィメンズ・ヘルスと聞いたら,何かイメージは浮かぶでしょうか? 直訳すれば「女性の健康」ということで,産婦人科? などと思われるかもしれません.私は女性の健康について,学生や研修医の皆さんに,将来どの科に進んだとしても知っていただきたい内容であると思い勉強会を開いています.

すべての医療者に女性の健康に興味をもってほしい

私がこの分野に取り組むきっかけになったのは,自分自身が「月経」について患者さんはおろか,自分の友人にもきちんと正常・異常について伝えられないことに気づいたからです.医師3年目のときに思春期保健相談士という資格をとり,亀田ファミリークリニック館山での家庭医後期研修中に産婦人科などを学び,女性の健康をどう診療に活かすかを考え,工夫してきました.

医療の道に入ると,日本では女性の健康,特に産婦人科分野は他の科が診てはいけない「聖域」といったイメージが根強いのが現状です.ただ,内診台がなくてもかかわれる女性の健康問題は多く,どういったときに産婦人科を受診すべきか,非産婦人科医でもこれならできるというアプローチを皆さんに学んでほしいと思いました.

大学では教えてくれないウィメンズ・ヘルスWS開催!

そこで若手の皆さんに向けて2日間のワークショップ(WS)を行うこととしました.亀田ファミリークリニック館山の家庭医診療科の本山哲也先生,菅長麗依先生とともに家庭医の視点から伝えるウィメンズ・ヘルスです.2011年12月から「大学では教えてくれないウィメンズ・ヘルスWS」と題して,岡山,大阪市立,東京女子,名古屋,九州,横浜市立大学と計6回開催しています.

第6回ワークショップ@横浜市立大学 2014年7月5〜6日

内容は,思春期の問題として「月経」「性感染症」「避妊」,性成熟期として「妊娠前・妊娠中・産後に気をつけるべきこと」,更年期として「更年期障害」,そして「ヘルスメンテナンス(健康の維持)」という領域に分け,レクチャー,ロールプレイ,ディスカッションを行います.これらを通して医療者としての知識を得られるとともに女性参加者は自分自身の知識の整理ができ,男性参加者は今まで聞けなかった女性の問題に接することができます.女性にとって当然の知識である月経に関して,男性はほとんど知らないことに女性参加者が気づくことも面白いポイントです.デリカシーに配慮した,しかし,受け身ではないウィメンズ・ヘルスに取り組める医療者を育てています.

また共同講師として若手医師に協力をいただき,家庭医だけでなく,産婦人科医,総合内科,小児科医など多科の先生方と協力して開催しているのも特徴の1つです.

こういった活動を通じて,周りの女性に少しでも気遣える医療者が増えることを願っています.

はじめから終わりまで,それぞれの経過に合った輸液ができる!

レジデントノート増刊 Vol.26 No.2
経過を追って考える 輸液の処方・調整のコツ
いつやめる?どう調整する?チェックするポイントとタイミングを押さえて、「何となく」の処方を見直そう

寺下真帆/編