総合診療はおもしろい!

家庭医療後期研修では何を学んでいるの?
杉山佳史(沖縄県立中部病院/沖縄県立宮古病院附属多良間診療所)

家庭医療が対象とする領域は非常に広範囲かつ多様です.そのため,もしかすると他の専門医像と比べると家庭医像はやや曖昧で,これまで出会ってきた,もしくはこれから出会う家庭医は,それぞれが全く別の医師の姿に見えるかもしれません.しかしながら,その核となる部分は共通です.家庭医療後期研修では,その核となる部分を学んでいます.総合診療専門研修が新たにはじまりましたが,総合診療専門医に必要な資質・能力として,① 包括的統合アプローチ,② 一般的な健康問題に対する診療能力,③ 患者中心の医療・ケア,④ 連携重視のマネジメント,⑤ 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ,⑥ 公益に資する職業規範,⑦ 多様な診療の場に対応する能力を挙げています.これらの資質・能力をどのように学んでいるか,島内で唯一の医療機関である診療所での私の研修を通して,その一部をご紹介したいと思います(研修内容に対応する上記の資質・能力の番号を付記しました).

外来診療

平日の日中は主に外来診療を,場合によっては訪問診療(⑦)を行っています.新生児から高齢者まで,ありとあらゆる疾患に対応しています(②).さらには,疾患の診断・治療を行うだけでなく,ライフサイクル・家族・仕事などの背景も踏まえて,患者にとっての病いの意味を問いながら診療を行っています(③).診療所だけでは患者が抱える問題の解決が難しい場合には,病院・施設・行政などと連携しながら取り組んでいます(①・④).他には,診療中の疑問をもとに臨床研究を計画したり,地域医療研修の初期研修医に教育したりもします(⑥).

救急/時間外外来診療

平日の夜間や土日祝日には救急/時間外外来診療を行います.重症度も診療所で対応可能な軽症患者から,緊急ヘリ搬送が必要な重症患者や心肺停止患者までさまざまです(②・⑦).

学校医

保育所内科医と幼稚園・小学校・中学校校医としての役割もあります.定期的に健康診断を行ったり(⑤),不登校や虐待などの問題を抱える子どもがいる場合には,養護教諭・担任教師や関係機関などと連携しながら,適切に介入を行ったりします(④).

地域の疾病予防・健康増進活動

診療所看護師と事務員とともに(一番右が筆者).

疾病予防を目的として予防接種も行います(⑤).普段は診療所を受診しない子どもたちも定期的に来院するので,単に予防接種をするだけでなく,彼らの成長や発達に問題がないか見守り,そして子どもに付き添う親が不安や悩みを抱えていないか注意を向けています(①).また,地域住民に対する健康増進を目的として,生活習慣病やアルコール健康障害などについて講話を含めた啓発活動を行っています(①・⑤).

家庭医療後期研修で学んでいるものが垣間見えたでしょうか.新専門医制度において総合診療専門医が19番目の基本領域として位置づけられたことは,家庭医や総合診療専門医のニーズの高まりを物語っていると思います.一緒に人々に必要とされる家庭医・総合診療専門医をめざしてみませんか?

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