安定同位体標識法の最適化により,タンパク質の溶液内立体構造解析のための核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)技術が新たな時代を迎えた.SAIL(stereo-array isotope labeling:立体整列同位体標識)法と名づけられた新技術は,すべてのアミノ酸残基の徹底的な位置・立体選択的重水素化により,立体構造情報を失うことなくNMRスペクトルを大幅に単純化する.このために,従来のNMR手法では取り扱えなかった高分子量タンパク質の精密立体構造解析の完全自動化が可能となった.