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トップページ > 本誌のご案内 > 2007年1-2月号 > 特許戦略で失敗しないためのバイオ研究実践ガイド【監修/山本貴史,本田圭子】
最新号(12月20日発行)
2007年1-2月号
(Vol.7 No.1)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

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目次
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特許戦略で失敗しないためのバイオ研究実践ガイド
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特許戦略で失敗しないためのバイオ研究実践ガイド
【監修/山本貴史,本田圭子】

第5回 大学におけるバイオ基礎研究成果の知財戦略〜発明者と知財担当者の最適な連携のために・・・橋本一憲
効率的な産学連携活動のためには,発明相談時に,発明者と知財担当者とが知恵を出し合い,いかに優れた知財戦略を構築するかが鍵となる.特に大学の基礎研究成果にはその必要性が大きい.そこで,本稿では,バイオ基礎研究成果を例に,両者の連携による知財戦略構築のポイントを解説する.

●バイオ基礎研究成果の知財評価におけるポイント

[Case]

U大学の教授甲は,ヒト大腸癌組織で特異的に発現する新規なタンパク質キナーゼ遺伝子(遺伝子A)を同定した.さらに,マウスにおいて遺伝子Aを発現させると,そのコードするタンパク質(タンパク質A)の活性化により大腸癌の発症が誘導されることを見出した.そこで,教授甲はU大学の知的財産本部に連絡し,知財担当者乙が発明相談に訪れた.

[Answer]

本事例では,教授甲が,新規遺伝子を同定して大腸癌発症との関連を見出していることから,大腸癌治療への応用が考えられる.まずは,遺伝子Aの取得から大腸癌治療薬の開発に至る物質面・用途面の一連の発明概念を抽出することになろう.
(中略)
新規かつ有用な発明概念を抽出すれば,「実施可能性」と「進歩性」が主たる特許性の判断材料となる.実施可能性の判断では「当業者が過度な実験や試行錯誤を行うことなく発明を実施できるか」が審査され,必ずしも実験的裏付けを要しない.

●医薬開発に向けた企業との提携におけるポイント

[Case]

タンパク質Aの活性化から大腸癌発症に至る機序の解明を進めた教授甲は,大腸癌の発症には,タンパク質Aによる既知タンパク質Bのリン酸化が必須であることを突き止めた.既知タンパク質Bには種々の阻害剤が開発されていることを知った教授甲は,まず,X社が開発した化合物Cを試料提供契約(MTA)により導入し,大腸癌モデルマウスでその効果を検証することを考えた.

[Answer]

化合物Cの供与にあたって,通常,X社からMTA案が提示されるであろうが,その「成果の取扱い」の項には特に留意を要する.その規定内容には種々のものがありうるが,最悪の場合,研究成果について「X社への世界的な無償独占実施権の付与」などが記載されているかもしれない(内容如何では独占禁止法上の問題も生じうる).
(中略)
不利なMTA案が提示された場合,教授甲と知財担当者乙は,その修正(例えば,優先交渉権付与への変更)について協議すべきである.

コラム

研究が特許権侵害? 特許法第69条問題・・・石川 浩
大学において,病気メカニズムの解明のために実験モデル動物を使用して研究することは,モデル動物特許の特許権侵害となるのか? 「侵害になる」が一応の答えだが,実際は混沌としている.これが,特許法第69条問題である.特許権者には業として特許発明を独占・排他する権利が認められている(特許法第68条).ここで,大学の研究活動は「業」なのか? という疑問が湧くが,公共事業が「業」であることから,大学の研究活動は「業」と解される.一方,特許法第69条には,「試験または研究のためにする」実施に特許権の効力が及ばない旨が規定されている.ここから,大学の研究活動は特許権侵害とならないだろう,との思いが頭をよぎる.しかし大学といえども,顕微鏡の特許権者に無断でその顕微鏡を製作し,細胞などを研究観察する行為は,特許権侵害である.なぜなら,顕微鏡を製造販売している特許権者の独占の利益が害されるからである.

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