バイオテクノロジージャーナルオブジェ
トップページバックナンバー本誌の特徴書籍購入について
メニュー区切り
トップページ > 本誌のご案内 > 2007年1-2月号 > 特集
最新号(12月20日発行)
2007年1-2月号
(Vol.7 No.1)
定価 2,625円(税込)
バイテクノロジージャーナル最新号詳細

 お買い物カゴ


目次
特集
■ ニュース
■ 実験技術
■ 研究戦略
■ 製品紹介
■ コラム&レポート
■ 製品・サービス情報

特集
癌の診断と治療に向けた
イメージング技術の進展
〜革新をもたらすナノメディシン〜
企画/大内憲明(東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座)

・<概論>ナノテクノロジーのがん医療への期待
  大内憲明
がんは,我が国において1981年に初めて死亡原因の第1位となった.以来25年が経過した現在,がんによる死亡は全死因の30%を超え,なお増加し続けている.国民の命を脅かす最大の原因となっているがんに対して,われわれはどう立ち向かうべきか?
一方,近年,超微細レベルでの制御技術による新たな物質の創生が注目されている.これは,従来のサイズを小さくする技術ではなく,原子・分子の特性を基礎とし,それらを組み上げることによって,超高密度デバイスを実現する技術である.この技術はナノテクノロジーと呼ばれ科学技術に革命をもたらしつつあり,将来飛躍的な発展が期待される超高度医療技術実現の切り札となる可能性を有している.
・FDGのlimitationとPET製剤の将来展望
  高橋延和,井上登美夫,雫石一也
FDG-PETは癌の臨床診断・治療に大きくかかわり,いまや癌医療のうえで欠かすことのできない診断技術となりつつある.しかし一方ではFDG-PETの限界も明らかになってきた.本稿ではFDG-PETの限界について具体例を列挙し,さらにPET薬剤として今後の展望が期待されているアミノ酸代謝製剤,核酸製剤,酸素代謝イメージング製剤,低酸素イメージング製剤や,ジェネレーター技術を利用した新しいPET薬剤について述べる.
・蛍光性量子ドットによるがん細胞の単一分子ナノイメージング
  樋口秀男,渡邉朋信,李 松花,多田 寛,大内憲明
ナノサイエンスの分野では,ナノ材料,マイクロマシン,ナノバイオロジーなどの研究や応用が盛んである.最近ではさらに,ナノサイエンスで発展した技術を医学に応用すべく,改良と開発が急ピッチで進んでいる.なかでも,生体分子のイメージングは身体の機能や病巣を検出するためには欠かせない技術である.ここでは,細胞内やマウス内でのタンパク質1分子の運動や機能を量子ドットを用いてナノイメージングした研究を紹介する.
・ナノサイズセンシングクラスターの新規開発と外科治療への応用
  武田元博,小林芳男,小林正樹,桜井 遊,中島護雄,大内憲明
ナノメートルオーダーの物質制御技術は総称してナノテクノロジーと呼ばれ,現在この技術によってわれわれが思う通りの,もしくはこれまで想像もできなかった物質が次々と生み出されている.これは物質を作るための化学技術が熟成したばかりでなく,スーパーコンピュータによる分子設計や,超高温,高圧条件下で物質を作製する超臨界条件での物質合成など,これまでの物質合成の枠を超えた技術の進歩が総合的に物質合成に関する化学・制御技術を押し上げたのに他ならない.本稿では現在までにわれわれが検討・開発したバイオナノマーカー,そのうち特にセンチネルリンパ節生検への応用について述べる.
・バイオナノキャリアの開発とがん遺伝子治療への応用
  近藤昭彦,黒田俊一,谷澤克行,妹尾昌治,上田政和
われわれは,全く新しいタイプのピンポイント遺伝子治療用ナノキャリアとして,ウイルス由来のタンパク質を利用した中空バイオナノ粒子を考案した.ウイルスのなかでも,B型肝炎ウイルス(hapatitis B virus,以下HBV)が肝臓のみに特異的かつ効率よく感染する能力を有することに着目し,B型肝炎ウイルス表面抗原からなるタンパク質のナノ粒子(「中空バイオナノ粒子」と呼ぶ)を目的臓器への能動的なピンポイント遺伝子導入を可能とするナノキャリアとして利用しようというものである.本稿では,中空バイオナノ粒子の概念,その製造や物性と,がん遺伝子治療への応用について紹介する.
・UCLAに見るアメリカでのナノメディシン研究の動向
  呂 杰,玉野井冬彦
ナノサイエンスの発展は多方面な科学に大きな影響を与えている,特に近年,ナノテクを利用して,新しいがんの診断や治療法の開発が進展してきており,基礎研究および臨床治療への応用がますます加速している.そこで,カリフォルニア大学ロサンゼルス校で進められているナノサイエンスに関する研究を例にとり,最近の動向を紹介したい.

(C) YODOSHA CO., LTD. All Rights Reserved.
羊土社ホームページへ